引き継がれる伝統行事「かせどり」

母親が姉妹で従妹同士の松尾帆夏さん(右)と工藤凪祥さん
地元で暮らす東田鉄平さん
元気いっぱい小串涼晴さん

●pよこ2×2×たて2・15日3面トップ用
かせどり
 日出町大神原山区地区に伝わる伝統行事「かせどり」が12日午後5時、行われた。
 江戸時代末期から続くもので、その年に生まれた赤ちゃんの健やかな成長と五穀豊穣を願う行事。男の子にはワラで作った大きな足半(あしなか)を、女の子には良縁に恵まれるようにと大きな結藁(いいぜ)を贈るのが慣わしだが、最近では両方贈っている。
 誰が持ってきたか正体を知られてはならず、正体を知ろうとする家人との駆け引きの面白さが有名。ボランティアグループ(塩川三次会長)を中心に作った。
 今年度の対象は、岩尾好幸さんの長女の松尾瞳さん(29)と圭寛さん(同)の長女・帆夏さん(2)、次女の工藤美穂さん(25)と裕平さん(30)の長女・凪祥さん(1)。東田竜弥さん(32)と亜矢さん(同)の長男・徹平さん(1)。今見堂公男さんの三女の小串美和さん(30)と聡さん(同)の長男・涼晴さん(1)の4人で、うち3人は里帰りでの行事参加。
 大人が足半を「祝うちあげるでぇ」という独特の掛け声と共に家に投げ込み、タヌキやキツネに扮装した子どもたちが俵や結藁を投げ込んだ。投げ込まれた物を見た家主は「縁起の良いものをもろうたで。みんな、来てみちみぃ」と家族に声をかけみんなで喜んだ。
 松尾さんは瞳さんが子どもの頃に贈り手になった経験もあり「地区の人によって伝統行事が守られている。これからも続けてほしい」として、帆夏さんには「病気をせず、すくすくと育ってほしい」。工藤さんも美穂さんが贈り手の経験がある。「親になって、行事に参加できるのはうれしい」として、凪祥さんには「みんなに愛される子に育ってほしい」と話した。
 東田さんは「このような伝統ある行事に参加できて、うれしい。地域の皆さんのおかげと感謝しています」と話し、徹平さんに対しては「元気に、日出町を代表するような人に育ってほしい」。小串さんの美和さんも子どもの頃贈り手だった。「自分の子どもがこのような行事に参加できて、うれしい」と話し、涼晴さんには「元気で健康に育ってくれればと思う」とそれぞれ思いを語った。
 かつて自らも行事に参加していた人たちが贈り手からもらい手になり、伝統が受け継がれている。

コメントを残す