第43回全国豊かな海づくり大会

別府国際観光港でマコガレイやマダイを
放流される天皇皇后両陛下

 第43回「全国豊かな海づくり大会~おんせん県おおいた大会~」が、天皇皇后両陛下のご臨席の下、10日午前10時半、大分市のiichiko総合文化センターで開催された。
 大分県の豊かな海や川を次代へ引き継いでいくため、つくり育てる漁業に一層取り組みとともに、それらを育む自然環境を守っていくことの重要性を県内に広く訴えかけることを基本理念に「つなぐバトン 豊かな海を 次世代へ」をテーマとしている。大分での開催は、第1回大会以来、2回目。
 式典では、佐藤樹一郎県知事の案内で両陛下がご臨席された。私立千代町幼稚園の鼓笛隊とともに県立海洋科学高校の生徒が登場し、大会旗を佐藤知事に手渡した。
 額賀福志郎大会会長が「我が国の水産業は、海洋環境の変化等による生産量の減少や就業者数の減少など、厳しい状況に直面しています。国としても、化学的な知見に基づく資源管理等により、水産資源の維持・回復を図ることはもちろんですが、各地域においてもそれぞれの特色を生かした水産業の活性化を図ることが急務となっています」。
 主催者の佐藤知事が「本県は、豊予海峡を境として、北は瀬戸内海、南は太平洋の2つの海につながる豊後水道に面し、全国トップクラスの生産量を誇るブリ類やヒラメの養殖など多様な漁業が盛んに営まれています。第1回大会の開催を契機に本県では種苗放流や小型魚の漁獲規制、県内一斉休業日など『つくり育てる漁業』を積極的に実施し、40年以上が経過した現在も脈々と取り組みを続けています。一方で新たな課題も生じています。本大会を契機に、本県では新たな増殖モデルの導入による水産資源の増大や、多様化するマーケットや環境変化に対応した持続的な養殖産地づくりなどを一層進めていきます」とそれぞれあいさつ。足立信也大分市長が歓迎のことばを述べた。
 天皇陛下は「第43回豊かな海づくり大会が、ここ大分県で開催され、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。大分でも、資源管理と一体となった栽培漁業や、ブリやヒラメなどをはじめとした魚類や貝類の養殖業の振興のほか、ブランド化に早くから取り組み、全国でも有数の水産物の産地となっています。こうした取り組みを、長年にわたり続けてこられた皆さんの努力に深く敬意を表します。大会始まりの地で行われる今回の大会を契機として、全国各地において取り組まれてきた豊かな海づくりの活動に皆さんの英知と努力を再び結集し、更に発展させていくことを期待します。そして、人々の海や水産業への関心と理解がより深まり、豊かな海づくりの輪が、ここ大分の地から全国へ、そして未来に向けて大きく広がっていくことを願います」と述べられた。
 漁業関係者らが「海づくりメッセージ」とを読み上げ、別府竹細工で作ったお手渡し容器に入ったイサキ、キジハタ、カジメ、アサリが両陛下から漁業関係者にお手渡しされた。未来へバトンをつなぐ思いが込められた決議をした。
 引き続き、会場を別府国際観光港第4埠頭に移し、海上歓迎と放流行事が行われた。漁船41隻が参加し、色とりどりの大漁旗をなびかせた。両陛下は、漁船団に向かって手を振られ、時折、陛下が皇后陛下に身振りを交えて笑顔でお言葉を交わすご様子もみられた。
 両陛下と関係者で別府市春木川小学校と佐伯市立松浦小学校の児童の合図でマコガレイとマダイの稚魚を放流した。
 沿道には9日は6852人、10日は9181人が歓迎する姿が随所で見られた。
 すべての行事を終えて、佐藤知事は「大会旗を引き継いで1年間、関係者と準備を重ねてきたので、ホッとした」と話し、天皇皇后両陛下が高速を走る車窓から湯けむりをご覧になり「今後、ゆっくり別府温泉に浸かりたい」とおっしゃったエピソードを披露した。