別府市は、土地を寄付して水道事業に多大な貢献をしたとして、八幡朝見神社(神日出男宮司)に対して、18日午後3時、別府市役所で感謝状贈呈式を行った。
昭和30年代後半の市勢の発展と昭和41年の大分国体開催などにより、水不足を解消するために大分県と共同で大分川別府地域利水事業を行った。その第6期拡張事業の際に、配水管布設用地として、朝見神社の所有地54・76坪の寄付を受けたもの。当時の第36代宮司の神喜久男氏(現宮司の祖父)が「市民のために」と英断した。
1日最大5万立法㍍の取水を行う事業で、別府市の水道事業の歴史の中でも重要な工事だった。口径700㍉の配水管を布設したことで、朝見浄水場から市中心部への安定供給が可能となった。現在は、上人、亀川地区までも給水エリアに入るなど、全体の約70%を供給することが出来ている。一昨年の100周年記念の際にこの事実が判明し、その後の調査で感謝状を贈っていないことが分かったため、今回の贈呈となった。
贈呈式には、神大和男禰宜(43)が出席。長野市長が感謝状と記念品の目録を手渡して「感謝状が遅くなってしまいましたが、昭和40年代の拡張事業の折には、土地を寄付していただきました。当時は、水に対する不安もあったと思いますが、この拡張事業によって水に困らなくて良くなった。半世紀過ぎてしましましたが、ありがとうございました」とあいさつをした。
神さんは「今回のお話しを聞いて、私たちも初めて知った。曾祖父が別府市への思いで寄付をしたのだと思います。神社としても、土地を寄付するというのは、英断だったと思います。神社は市民の皆さんのおかげで成り立っているので、引き続き、別府市の発展に尽力したいと気持ちを新たにする良い機会となりました」とお礼を述べた。