別府市公設地方卸売市場のあり方検討委員会(中山晴生委員長、13人)はこのほど、昨年10月から5回にわたる委員会での意見を取りまとめた報告書を別府市に提出した。
卸売市場には、品ぞろえ、集分荷・物流、価格形成、決済、情報の5つの機能があるが、年々、産直など市場外流通が拡大している。全国の卸売市場においても、青果、水産の約4割が市場外を経由している。加えて、買受人も減少していることなどから、厳しい経営環境となっている。
別府の卸売市場では、施設に耐震性が弱いことや新たな事業展開に求められるコールドチェーンなどの整備がなさていないことなどがある。市が施設整備をする場合には使用料の高額化、事業者が整備をする場合には著しい経費の増加とバランスシートの悪化を招くことになり、いずれにしても投資に見合う売上高がないと市場の経営が厳しくなることが予想される。
平成30年度実績から、令和12年度の売上高を3パターン推計。現状維持をする「推計パターンB」を中心に協議を重ねてきた。委員からは「市場を取り巻く環境を考えると、今は大規模投資をする時期ではない。青果棟(または水産棟)に耐震補強などの改修をした上で、青果、水産、花きの機能を集約化することが考えられる」「使用料の値上げに対応することは難しい。可能な限り、現在の施設を維持できれば」「使用料値上げにより入場事業者が撤退するような事態になるようなことは避けた方がよい」などの意見が出た。
集約化に伴い発生することが予想される余剰地もついては、「広大な用地を活用して、臨海というメリットを活かして有効活用を検討すべき」「収益を市場の活性化に利用できないか」など、民間活用も含めて、今後検討が考えられる。
また、現行の仕組みを維持しつつ、市場の活性化に向けた取り組みによって魅力等を高めて民間のノウハウを活用するなど、今後の運営方法等について検討する、としている。一般への市場開放については、セリの時間は「プロの時間」として、一般消費者の入場は断り「従来通りの市場としての確保する部分と一般開放する部分との区分が必要」との意見があった。意見書を受けて、別府市では今後市場をどのように整備していくか、関係者と協議をしながら検討をしていく。