▽解説者=公明党参議院議員(医学博士)=秋野公造氏
Q・PCR検査を全員に例外なく行うべきとの考え方がありますが。
A・手のかかる検査を幅広く行うことは医療崩壊を招きかねず、新型コロナウイルスの重症患者や、がん、脳卒中、心臓病など命にかかわる患者の治療が行き届かなくなるおそれがあります。
また、感染初期の新型コロナウイルスのウイルス量はインフルエンザウイルスのウイルス量と比較して100分の1と言われており、判定を難しくしています。
そのため、時間が経過した再検査で陽性となることもあります。
そこで、日本では、感染者とその濃厚接触者を追跡してクラスター(=集団感染)を探し当て検査を行い、また医師が病歴や診察などから感染の疑いがある人を的確に絞り込み、必要な検査を適切に行い、限られた医療資源のもとで重症化する患者の命を守ろうとしてきたのです。
Q・PCR検査を制限してきた理由はなんでしょう。
A・新型コロナウイルス感染症の特徴がわかってきました。その1つは重症化する場合は、症状が出始めてから、7~10日目に重症化することが多いことです。
すなわち、5~7日目までには風邪症状が続き、軽症の方はその間に治っていきます。
よって、これまで風邪型の症状がある方は外出を控え、人と人との接触を制限していただくようお願いしています。
症状が4日間続く場合、高齢の方や基礎疾患のある方においては2日間続く場合、PCR検査を受ける体制を取ってきた理由で、あくまでも重症化する患者を効率的に見つけて治療につなげるためなのです。
Q・風邪を引いたと思ったら、自宅等で安静・療養することが重要ですね。
A・はい。残念ながら新型コロナの治療法はありません。日頃から栄養と睡眠を充分にとって体調を整えることがとても重要です。中でも風邪型の症状がある時には、こじらせないようしてください。 (その⑤へつづく)