新型コロナウイルスの感染は、現在収束に向けて進みだした。自粛疲れの今日この頃、「ちょっといい話」を聞くことができた。―――
スリランカ(旧称・セイロン)出身の若手起業家が日本での永住権を取得、将来は日本とスリランカとの「架け橋」となってこの国際事業を盛り上げたいと、意欲を語っている。
セイロン紅茶で知られる「スリランカ」は、インド南西に位置する島国。人口約2千2百万人で7割超が仏教徒。勤勉な国民性に支えられ、東南アジア発展途上諸国のなかでも、産業経済分野の「優等生」として位置づけされている。
現在別府に在住のクラドウンゲ・アサンタさん(38)。1982(昭和57)年、スリランカ、クルナーガ県の出身。アサンタさんは、同国のサーラーナート大学国際経営学部を卒業。一時期、金融会社に就職したが、実家の自動車整備販売の事業拡大を目指し、2007(平成19)年、日本の技術習得のため別府大学に留学。基本的な日本語課程を経て、東京のIT専門学校を修了、再び別府に戻った。
別大留学当初から、神田剛さん=(株)別大警備保障会長=の知己を得、アドバイスで現在、大分市内の自動車整備販売会社に勤め、将来は日本製自動車をスリランカ仕様に改良して輸出する事業の創業を目指しているところ。
外国人が日本で創業する場合、法規や起業手続きは複数多岐にわたる壁や難問がのし掛かる。神田さんは別府東RCのベテラン会員として、青少年への育成奉仕を手がけた経験や、14年間にわたる厚生保護司として、受刑者の社会復帰を手助けした実績をもって、アサンタさんを支援。
外国人事業者として必要な身元保証人を引き受け、日本国内の永住権獲得のため物心両面の応援を続けている。
アサンタさんは「神田さんから、見も知らずの外国人の私を、実の子のように面倒を見て頂いています。『日本の父』に恩返しできるよう、日本とスリランカの架け橋となって事業成功に頑張っていきたい」と目を輝かせる。
日本のお父さん神田さんは「とにかく真面目な青年。誠実な行いのお陰で今日に至っています。事業内容は将来へ向けて大きな楽しみ。別府を第2の故郷として、両国の発展のために頑張ってもらいたい」と目を細めている。