パラスポーツを通じて、障がいや共生社会の実現について考えてもらおうと全国で開催されている体験型出前授業「あすチャレ!スクール」が13日、別府市立上人小学校と別府中央小学校を皮切りにスタートした。16日までに、公立、私立の5小学校で実施される。主催は、日本財団パラリンピックサポートセンター、日本航空が協賛。
別府市では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、おもいやりの街づくり推進事業を展開している。若い世代に障がいやパラスポーツについて関心を高めて、来年開催される同大会への機運醸成につなげたい考え。
講師は、水泳やパライスホッケーなどで夏冬5回のパラリンピックに出場した加藤正さん(51)。種目は車椅子バスケット。加藤さんは、小学2年生の時に骨肉腫という病気になり、左足を切断したが、水泳、ロッククライミング、アーチェリー、登山、アイスホッケー、バスケットボールと様々なスポーツなどに挑戦を続けている。
別府中央小学校では、6年生24人が参加。姫野悟校長が「障がいのある人が、生活の中でどのような困りがあるか知ってほしい。また、パラアスリートの夢に向かって努力する姿を知って、皆さんも夢に挑戦するようになってほしい」とあいさつ。
加藤さんが、車椅子バスケの特別なルールについて説明したあと、デモンストレーションを実施。シュートが決まるたびに大きな拍手がおきた。また、生徒と先生各2人ずつが車椅子に乗ってシュートを体験。立ってシュートするのと違い、腕の力でシュートをするため、難しいことを学んだ。
引き続き、全員が車椅子に乗ってバスケのルールを取り入れながらのリレーを体験。競技用の車椅子は回転がしやすくなっていることやスピード感などを体感した。
講演で加藤さんは「いつ自分が障がい者になるかは、分からない。自分たちには関係ないと思っているかもしれないが、なりたくて障がい者になる人はいない。その人たちを差別したり軽蔑したりするのは、とても卑怯なこと。その人の身になって考えてほしい。障がいのある人が困っているようだったら勇気を出して声をかけることが大切。どんなことでもやってみようというチャレンジ精神を持って、得意なことを伸ばしてほしい。スポーツだけに限らず、皆にも自分を表現するための武器を持ってほしい。それが、必ずどこかで生きる」と話した。
梅野朔太朗さん(12)は「(講話を聴いて)自分の夢をちゃんと持って人生を生き抜くことを学んだ。車椅子は、曲がるのが難しかった。車椅子から降りたり乗ったりする動作が大変だなと思った」と話した。
15日には、寺岡悌二教育長を加藤さんらが表敬訪問し、同日、協力員研修も予定している。