別府商工会議所はこのほど、2020年7月から9月の景況調査を発表した。今回で28回目の調査。
今回は、新型コロナウイルス対策として活用した制度・支援策について回答してもらい、8つの制度などを含めて1社当たり2・6制度を活用している。この2・6制度は多いと考えるべきではないと思われる。新型コロナウイルス感染症対策は窮境に陥っている中小零細企業への支援ではあるが、市民や県民に対する潜在需要の表出化や喚起の対策としては力不足かもしれない。別府市単独では困難であっても、政府や大分県との連携を密にし有効需要の創出ができる施策を打ち出してもらいたいとしている。
市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
▽売上高=「もの造り関連」「商業・サービス関連」ともにマイナス50以下のマイナスDI値(増加・好転などの回答割合から減少・悪化などの回答割合を引いた値)となった。「増加」や「やや増加」を選んだ企業は、「総合」は8社であり、前回調査の5社と比較して、僅少であるが改善の傾向が示された。業種別では7業種中、建設業がマイナス30と最も良い数値を示し、医療・福祉がマイナス80と最も悪い。
▽売上単価=全体的に改善の方向が顕著になった。「総合」の前回はマイナス50だったが、今回はマイナス19、来期見通しはマイナス2と急速な改善を達成または達成できそうだとの期待が現れている。
▽資金繰り=中小零細企業がコロナ禍で資金ショートを起こす可能性が高いことから、政府は政府系や民間を問わず金融機関に資金支援の緩和を誘導した。資金繰りの安定化への歩みは、しばらく停滞が続くのではないかと懸念される。
▽借入難度=総合のDI値は8・0だった。商業・サービス関連は10と二桁のプラス値となったが、「もの造り関連」は前回の10から今回はゼロと10ポイント後退した。コロナ禍で必要資金は借り入れるが、設備投資などの積極的な資金の借入まで至っていない可能性が高い。
▽収益状況(経常利益)=総合では改善した事実が伺える。これは「商業・サービス関連」がマイナス48・8と前回のマイナス76・3より27・5ポイント改善したことが大きい。業種の違いを越えて、収益状況改善には構造的または組織的な課題がある可能性も高いと思われる。
▽雇用人員=総合の前回はマイナス4だったが、今回はマイナス13、来期の見通しはマイナス20と一部の業種や企業で見られる業績回復の副作用として、雇用環境は徐々に悪化傾向を示し始めた。
▽自社の業況判断=業種別では改善状況に差異があるが、今回は前回よりも全業種で改善した。全体的には急速回復を予想するが、「総合」のマイナスDI値が悪すぎる状態である。