別府市議会の令和元年第3回定例会・一般質問は最終日となる18日午後1時から再開した。
午後からは、手束貴裕氏(自民党議員団)、泉武弘氏(行財政改革クラブ)、加藤信康氏(市民クラブ)、堀本博行氏(公明党)の4氏が、学校教育、鉄輪地獄地帯公園、公共下水道事業、終活など幅広い分野において質問を行った。
一般質問はこの日で終了し、20日に本会議を開いて委員長報告や表決などを行う。
いじめ問題現状は
手束貴裕氏(自民党議員団)
手束氏は、いじめ問題について「私も小学校高学年の時に激しいいじめにあった経験がある。現状はどうなっているのか」と質問。
利光聡典学校教育課参事兼総合教育センター所長が「認知件数は、小学生が平成29年度261人、30年度1428人。中学生は29年度97人、30年度143人。いじめ防止基本方針に基づいて、積極的な認知調査を行った結果、増えている。道徳の授業や学級会などで話をしている」と説明。
手束氏は「命に係わるような問題に発展することもあり、把握するために、アンケートを定期的に行ってほしい。また、SNSの普及で、24時間、いじめから逃れられない。ネットいじめは、気づけない部分が多くあると思う。これからも、広がる懸念があり、しっかりと目を光らせてほしい」と要望。
不登校についても質問。利光参事によると、平成30年度は小学生は24人、中学生は129人で、要因は友人関係や家庭問題など様々で、原因の特定が難しいものがある、と説明した。
手束氏は「地域児童生徒支援コーディネーターやコミュニティスクールなどが重要」とし、地域と連携した対応を求めた。
寺岡悌二教育長は「かけがえのない子どもがいじめや不登校にあうのはあってはならない。教師が児童・生徒に寄り添うことが大切だと思う」などと述べた。
他にも、放課後児童クラブなどについても質問をした。
公園用地売却看過できず
泉武弘氏(行財政改革クラブ)
泉氏は、地獄地帯公園の一部売却について質問。「住民監査請求をし、公開質問状を出したが、何の回答もない。その後、抗議文を出した」と時系列で説明。「温泉権まで無償譲渡している。何故、売却したのか」と質問。
狩野俊之建設部長が「平成12年度当時は泉源があり、給湯していたが、平成14年度に枯渇。将来開発予定のない未利用地として売却した。無道路地であったため、随契した」と答えた。
起案して同日決裁されていることについて、説明をどう受けたのか質問した泉氏に対し、長野恭紘別府市長は「4年前のことで、記憶にない」と答えた。
泉氏は「売却地と残った土地の境界ブイもない。市有地と思われる場所に植栽がされている。公共財産を管理する責任があるものとして、誰が植栽したものか分からないというのは、あまりにも無責任」と厳しく批判。
鉄輪地域での別の土地売却の実例を挙げながら「坪1万円という単価がいかにおかしいか。県には別府市との協議の記録が残っているのに、別府市には残っていない。こんな重要な問題の協議録がない。疑問が増幅する。どんなに言葉を重ねても、理解を得るのは難しいと思う。看過できない」とした。
泉氏の質問に対して長野市長が反問権を使用したが、反論であったことから、一時、休憩をして議運を開いて確認をするなど議事運営が混乱する場面もあった。
一元化、職員との協議は
加藤信康氏(市民クラブ)
加藤氏は、公共下水道事業の企業会計化と上下水道の一元化について、働く人の観点から「同じ組織の中で、水道と下水道の担当職員が働くことになる。職員の身分はどう変わるのか。協議はどうしているのか」と質問。
藤吉賢次水道局次長兼総務課長が「勤務労働条件の変更を伴うため、労組に申し入れをしている。協議をし、検討委員会を立ち上げて業務の洗い出しをし、最終協議のあとに組織統合を進める」と答えた。
加藤氏は「地方公務員が企業職員になる。ただ、異動発令で『行け』というのではすまない問題。意思確認が必要。水道は早くから労組と話をしているようだが、市職労には最近になって話があり、間に合わないのではと思う」と指摘。
会計についても「下水道は、全国的にも赤字会計だと思う。それを表に出して、経営をしっかりやろうというもの。下水道料金をどれくらいにするのかなどの議論をしなければいけないような事業だと思う」とした。
保育所での特別に支援を要する子どもの支援について質問。月輪利生福祉保健部次長兼子育て支援課長が「保護者からの自己申告や保育をする中で職員の判断から推測すると、数十人。保健師と情報共有をしたり、発達相談につなげている」と説明した。
加藤氏は「保育士の目を育てないといけない。増やすためには、給与や待遇面を考えないといけない。インクルーシブ対応も進めるのが公立の役割」と述べた。
学校給食施設についても質問をした。
誰も取り残さない防災
堀本博行氏(公明党)
堀本氏は、インクルーシブ防災について「全国から高く評価されている。成果と特徴は」と質問。
田辺裕・防災危機管理課長が「障がいのある人の個別避難支援計画をモデル的に実施し、自治会と調整会議をして共有し、訓練を行った。要配慮者支援の仕組みづくりの理解を深め、福祉事業所の災害時の事業継続計画づくりも進めた。福祉フォーラムin別杵速見実行委員会が主体となって、当事者が一緒にやることで多くの課題を共有でき、多様な防災訓練が出来るようになった」と説明。
堀本氏は「いち早く実践に移した先進的な地だと思う。1人も取り残さないという目標に向かって、パイオニアとして全国を引っ張れるように頑張ってほしい」と述べた。
終活支援事業について「5月から社会福祉協議会が中心になってやっているが、相談内容は」と質問。
寺山真次福祉政策課長が「8月までに12件の相談があり、内容は遺言書の書き方や身内がいないが、葬儀や納骨についてなど。専門機関を紹介するなどしている」と答えた。
堀本氏は「一番不安に思っているのは、亡くなったあとどうなるか。“親族力”が落ちている。支援を立ち上げたのは良いが、もう少し考えてほしい」と述べた。中西康太福祉保健部長は「市民の不安解消のためには、包括的な支援が必要。市としてどう関わっていくのかも踏まえて、協議したい」とした。
他にも、猫対策についても質問をした。