大分県が行う東京2020パラリンピック聖火フェスティバルのの別府市におけるパラリンピック聖火「別府おもいやりの火」採火式とビジット(展示)が15日午後0時20分から、亀川の太陽の家で開催された。採火式は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、関係者のみで行われた。
オープニングで、太陽の家の利用者らで構成する「アンサンブル太陽」が登場して「愛は勝つ」「ランナー」など7曲を演奏し、盛り上げた。
別府市での採火は、1975年に開催された「第1回フェスピック大会」(極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会)で使用した、故・中村裕博士ゆかりのレンズとその採火方法を継承し、太陽光を集めて火をつける方法で行われた。細かい作業を人を、器具を運んでレンズを支える作業を人協働ロボットが担い、多様性と新たな共生社会を願って実施された。しかし、当日は曇り空で太陽が出なかったため、事前に晴れた日に採火した火を使用。採火の様子をビデオで流し、人協働ロボットが運んだトーチに長野恭紘別府市長が火をつけて、採火台と展示用のランタンに灯した。
長野市長が「多くの人のご協力で採火式を行うことが出来ました。本来なら、もっと多くの人に式を見てもらいたかった。全国で様々な方法で採火され、1つになる。多くの選手や観客が訪れて、様々な立場で交流が育まれることを期待していましたが、今回は叶わぬこととなりました。より一層の気持ちを込めた採火となりました」とあいさつ。
山下達夫理事長は「太陽の家の創設者であり、日本のパラスポーツの父である中村博士は、東京パラリンピックの前回大会で日本選手団の団長を務められ、半世紀が経ち、銅像の前で採火式が出来ることは、感無量。中村博士もどこかでご覧になり、喜んでおられると思います。パラスポーツは、リハビリから始まり、楽しめるスポーツになり、競い合うスポーツになった。今後は、障がいのある、なし関係なく、五輪とパラが一緒に開催されるような世界になればと思う」と述べた。
採火式を記念して、一般社団法人日本パラ陸上競技連盟の増田明美会長が「2020東京から その先へ」と題して講演した。「人とロボットが一緒に採火するのは見たことがなく、画期的だと感じました。ここ(太陽の家)が、パラスポーツのはじまり。今回の東京五輪で一番印象に残っているのは、卓球の男女混合ダブルスの決勝戦。最後まで諦めずに戦えば、何が起こるか分からない。それがスポーツ。今では、五輪の代表選手とパラの代表選手が一緒に合宿をしたりしていて、パラの選手の体の使い方から学ぶところがある」などと話した。
その後、「別府おもいやりの火」は、別府公園と太陽の家に展示され、多くの人が訪れた。
大分県は16日夕方、太陽の家で各市町村で行われた採火式の火を1つにする「集火」を太陽の家で行った。