別府市議会は8日午前10時、全議員で構成する予算決算特別委員会(荒金卓雄委員長)を開き、令和2年度決算について審議が始まった。
8日は会派代表による総括質疑が行われ、午前中は、阿部真一氏(自民党議員団)、穴井宏二氏(公明党)が執行部の考えを質した。午後からは山本一成氏(自民新政会)、加藤信康氏(市民クラブ)、平野文活氏(日本共産党議員団)が質問。9日は個人質疑が予定されている。
はじめに、長野恭紘別府市長が「執行に当たっては、最小の経費で最大の効果を上げられるによう努めてきました。幅広い視野からご意見をいただきたい」とあいさつ。
阿南寿和副市長が「当初予算は、市民福祉の向上、市民の安全確保、第2期別府市総合戦略の推進により別府市の活性化を図るなど、市民が幸せを実感できるまちづくりを最大の目的に編成しましたが、当初予算編成後から、新型コロナウイルスの感染が拡大し始め、市民生活にも大きな影響が生じ、補正予算の編成は13回を数え、令和2年度はコロナとの闘いの1年だった」と振り返った。
一般会計の決算規模は、歳入決算額は688億926万7千円(前年対比35・9%増)、歳出決算額は676億6998万3千円(同36・1%増)。歳入から歳出を差し引いた形式収支は11億3928万3千円で、翌年度に繰越すべき財源を差し引いた実質収支は7億9346万4千円の黒字。実施単年度収支は約2億8397万円の黒字となり、5年ぶりの黒字に。
6つの特別決算の決算規模は、歳入総額555億3569万4千円、歳出総額545億1171万2千円で、実質収支は10億2398万2千円で、すべての特別会計が黒字となっている。
経常収支比率は96・9%で、前年度より0・5ポイント改善し、3年連続で改善となった。操出金や人件費などの経常的経費が減少し、地方消費税交付金や普通地方交付税などの経常的収入の増加が改善につながったとみている。
岩田弘上下水道企業管理者が水道事業と企業会計制度になって初めての決算を迎える、下水道事業の全体説明を行った。水道事業は、収入決算額は24億1741万9千円(同4・8%減)、支出決算額は22億3115万8千円(同1・3%増)で、1億3297万5千円(同47・2%減)の純利益を計上。給水人口は年々減少しており、これに伴い有収水量も減少傾向にある。
下水道事業は、収入決算額は19億4319万1千円、支出決算額は21億8141万6千円となっており、純利益はマイナス2億4525万9千円だった。「今後も経営の健全化を推し進めるため、引き続き、様々な角度から事業全体の調整を図り、将来的にも安定した経営となるよう、不断の努力を重ねていきたい」とした。
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阿部氏は、目的別歳出について「コロナ対策で全体に大幅な増加がみられる」とし、今後拡充や増額が予想される事業について質問。
安部政信企画戦略部長は「現状では、感染症対策が最優先されているが、今後は、コロナ収束後の反転攻勢に向けた施策を優先順位を付け、財源を確保しながらやっていきたい」と答えた。
委員の阿部氏は「コロナ対策については、来年度予算に着実につなげていってもらい。コロナ対策が一般財源にどれほどの影響を及ぼすのか、予算編成の際には、分かる形で提示してほしい」と要望。
地方債や水道事業会計などについても質問をした。
穴井氏は、経常収支比率について質問。「前年度から改善しているが、平成28年度以降、高止まりしている。経常経費を減らすのは難しいと思うが、今後、施設の維持管理費等で経費がかさみ、財政の硬直化がより一層進むことも考えられる」と指摘。
安部企画戦略部長は「一般財源などが大幅に減少し、扶助費の増加などで平成28年度に6ポイント向上した。その後、経常経費の抑制に努め、徐々にだが、改善しているが、平成14年度以降90%台で推移している。持続可能な財政運営のため、歳入、歳出両面から改革を図っていきたい」と答えた。
他にも市税収入状況、防災無線整備に要する経費などについても質問をした。