文化財防火デーを前に消防訓練

屋上から来場者2人をはしご車で救出した
煙が充満する中、文化財に見立てた箱を外に運び出す職員

 「文化財防火デー」(26日)を前に22日午後1時半、野口ふれあい交流センターで消防訓練があり、センター職員、市消防職員、市教委、市文化財保護審議会などから計40人が参加した。
 文化財防火デーは昭和24年1月26日、法隆寺(奈良県斑鳩町)金堂の壁画が火災で焼損したため、文化庁と消防庁が昭和30年、1月26日に制定。両庁は同年から各都道府県・市町村教育委員会、消防署、文化財所有者の協力を得て、文化財防火運動を始めた。
 同センターは、平成21年4月に開館。23年5月に大規模改修しリニューアルオープン。その際、歴史文化展示室ができ、市指定有形文化財の保管・展示が始まった。
 訓練は、南棟東側調理室から出火。隣接する管理棟にも延焼。逃げ遅れた来館者3人のうち1人が文化財展示室で倒れている。南棟屋上に来館者2人が逃げ遅れて助けを求めている。1階は煙が充満し屋内階段からの救出はできない――と想定した。
 職員が消火器で初期消火したが消えないため、119番通報するとともに館内放送で「火災が発生。慌てずに避難して下さい」と伝えた。
 同センター南棟1階の文化財展示室に倒れている人(人形)を、職員2人が棟外に助け出した。また、他の職員が管理棟などにいた参加者を外に避難誘導した。
 消防署の指揮隊、消防車、浜町出張所のシグマ型はしご車が到着。消防車は、管理棟屋上に向けて放水した。はしご車は、南棟屋上にいる2人を救出した。
 続いて、文化財搬出訓練として、職員が煙が充満する文化財展示室から文化財に見立てた箱を搬出。体育館に運んで、終了した。
 訓練終了後、寺岡悌二教育長が「センターには、国の重要登録有形民俗文化財をはじめ多くの文化財が展示されています。施設は多くの市民が活用しているので、訓練を積み重ねることで、文化財や利用者の安全確保ができます」。
 浜崎仁孝市消防本部予防課長が「皆さんが、貴重でかけがえのない文化財を後世に継承していくという意識の向上を目的で訓練しました。訓練を重ねて、更なる防火体制の確立を確実に行っていくことが大事」とそれぞれあいさつした。
 別府市内の文化財は、国指定5、県指定17、市指定36、国登録19の計77点・カ所ある。

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