選抜高校野球甲子園大会中止を受け

取材陣の質問に答える川崎絢平監督

 第92回選抜高校野球大会に出場する予定だった明豊高校(2年連続4回目)は11日午後6時、日本高野連の中止決定を受けて、同校図書室で川崎絢平監督が取材に応じた。
 中止の連絡は午後5時50分ごろ、赤峰淳部長の元にメールが届いたという。
 川崎監督は「日本高野連から『十分に協議した結果、中止になります』とメールがあった。この社会情勢なので『仕方ないな』という気持ちと、『無念だ』という気持ちがある。ただ、最後まで生徒のことを思って協議をしていただいて、無観客開催を、という日本高野連の思いが伝わっていたので、生徒に対しての思いに感謝しています」と切り出した。
 「野球部員にどのように伝えるか」と問われると川崎監督は「なんて伝えればいいか、正直分からない。でも、(明豊高校は)他の部活も選抜大会には出れないので、他の部活動生徒も同じ苦しみを味わい、乗り越えようとしている。野球部員も乗り越えてくれると信じている。スポーツをやっているのは、逆境に立ったとき、自分の思うようにならなかったとき、心が折れそうになったときに、踏ん張る力を養うため。今すぐとはいかないかもしれないが、今の状況を乗り越えて、前に進んでいってほしいと思う」と答えた。
 「当初は無観客試合が決まり、今日(11日)までどのような気持ちで過ごしたか」の質問に、監督は「あるものだと信じてやってきたし、今できることを100%することが開催への思いにつながると考え、時間を使ってきた」と語った。
 生徒たちの心のケアなどについては「ここ(甲子園出場)に懸けてきていたので、甲子園という舞台で元気にプレーする姿、今までお世話になってきた人への恩返し、ここまで携わってくれた人へのお礼を表現する舞台だった。それがなくなったことの苦しみはある。このもどかしさや歯がゆさは、夏に晴らすしかない。前を向いて頑張ってくれると思うし、今は捉えられないかもしれないが、これも人生の一つで前を向いて頑張ってほしいという話をしようと考えている」と述べた。
 赤峰部長は「一昨日(9日)の深夜まで、日本高野連から連絡があり、最後まで開催に向けて頑張ってくれていたし、希望を持っていた。これからは、日本高野連の判断の元、行動するだけ。リスクを考えると、理解できる。チームの活動としては、まだ白紙の状態。学校の指示で、練習などをしていく」と語った。
 取材終了後、川崎監督は野球部員64人に選抜高校野球大会の中止を伝えるために図書室を後にした。

日本高野連が中止決定

 日本高校野球連盟などは11日、第92回選抜高等学校野球大会は無観客での開催を断念し中止を決定した。選抜高校野球は、これまで戦争の影響で中断したが、予定されていた大会が中止になるのは初めて。
 大会臨時運営委員会は「開催に向けてあらゆる感染防止対策を準備してきた。しかし、国内の感染が収束する見通しは立っておらず、選手が安心して大会に参加できる環境を19日の開幕時点で整備できるかどうか不透明なこと、練習の一時中断などで選手たちが十分な準備をして大会に臨むことが難しくなっていることなどから、苦渋の判断となった」
 「甲子園の舞台を待ち望んでいた32校の選手たちはもちろん、選手を支えてこられた学校関係者やご家族の皆様のお気持ちを考えると、誠に心苦しい思いですが、選手たちの安全を最優先に考えたうえでの結論。全国の高校野球ファンの皆様にもご理解いただき、次の夢に向かって歩み出す32校の選手たちにどうか温かいご声援を送っていただきますよう、お願い申し上げます」と述べている。
 日本高校野球連盟の八田英二会長は、今大会の出場が決まっていた選手への救済措置として「新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた段階で、出場校には何らかの形で甲子園に来て頂けたらと考えている。選手には甲子園の土を踏ませてあげたい」と話した。

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