「平和を考える市民の広場」パネル展示

戦時中の別府の様子を伝えるスライドを作成して上映
広島などの原爆の様子を伝えるパネル展示

 昭和20年8月6日に広島に、8月9日には長崎に、原子爆弾が投下されて今年で75年を迎えた。原爆が投下された周辺は一面焼け野原になり、多くの一般市民が亡くなり、または生き残っても大けがをしたり被ばくの後遺症に悩まされ、差別にも耐えてきた。戦後4分の3世紀が経過して、戦争を体験した人はもとより、家族を亡くした遺族も高齢化が進み、平和な時間が長く続く中で、「戦争を知らない世代」にいかに戦争の悲惨さや愚かさを伝えるかは大きな課題といえる。
 別府市では、毎年「平和を考える市民の広場」を開催して、講演会と映画上映を交互に実施してきた。しかし、今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの人が集まる行事が出来ないため、初めて複数日を使って平和を考えるイベントを企画。16日まで、市美術館で開催している。
 会場には、原爆のきのこ雲や浦上天主堂、日本銀行広島支店(原爆ドーム)の様子や爆弾の熱風で溶けた一升瓶、被爆した瓦、救護所の様子など53枚のパネルで紹介。さらに、スライドを使った動画「べっぷ 平和を想う」を独自に作成した。当初、今年は映画上映だったが、コロナの感染予防で映画上映が出来なくなったことから、担当する社会教育課の社会教育主事の縄田早苗社会教育課長補佐と永尾美穂さんが話し合い、スライド動画を作ることにした。作成に携わった永尾さんは「私自身、学校で平和授業をしていた時、全体は教えるが、別府は当時どうだったのかはよく知らないと感じていた」と話す。
 公会堂には敷地内に当時のサイレンが残されている。動画では、そのサイレンを訪れるシーンから始まり、温泉観光都市から療養都市への転換と戦争が市民生活を圧迫していった様子、ヒトラーユーゲントの歓迎写真、海軍病院の様子、当時の新聞、終戦とキャンプ・チッカマウガ(現在の別府公園)など、戦時中の別府の様子などがよくわかるスライドになっている。
 また、広島市立基町高校の生徒が戦争体験者から聞いた話をもとに絵を描いた「高校生が描いたヒロシマ」も同時上映。入場は無料。開館時間は午前10時から午後5時(最終日は午後4時)まで。

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