野口元1の自治会長、甲斐直彦さん(67)は、同町6番の自宅と同じ敷地内に本家がある。屋号は「油屋」。幕末の安政年間に油を販売する商店として創業した。町内指折りの旧家。このほど母家の原型を復元リニューアルして来年3月下旬に再スタートを切り、新規事業を展開する。
県立高校の校長を務めた甲斐さん、地元自治会や公民館長として超多忙な毎日。公職を辞してからは、ペット共生マンション、遊休地を利用した民泊、自家所有ビルの1階を若手竹工芸家らに提供して、「アート」と高齢化地域を融合した街づくりに、新たな情熱を燃やしつづけている。
母家の甲斐氏邸は、瓦ぶきの2階建て。漆喰の外壁を再生したあと、1階には甲斐家に伝わる道具類を展示する資料室、野口通り沿いにカフェや、モダンアートを展示するギャラリーを併設。2階は民泊用のゲストルーム。
旧家の一部を解体したところ、慶応年間に記述された「油屋」の事業記録や明治2年の会計処理記述などが次々に出て来た。家まるごと「お宝」の再発見!
地元野口をはじめ、「油屋」が事業を通じて地元経済の一翼を担ってきた実績を証明するもの。油屋隆盛の宗主は明治2年別府港開設に貢献した4代目仁右衛門。直彦さんが継承すれば「5代目油屋仁右衛門」となる。ヒストリーロマンを感じさせる話になってきた。