別府“温泉”大学の温泉学概論

シンポジウムで(左から)山村さん、
菅野さん、円城寺さんの3人が温泉について語った

 地域の宝である温泉を研究し、その成果を地域に還元することを使命としてこれまでの温泉研究を集結している別府“温泉”大学は令和2年度温泉学概論最終回「シンポジウム別府の温泉文化を伝える」を1月23日午前10時40分、別府大学32号館400番教室で開催した。
 講師は、山村尚志さん(別府八湯語り部の会、別府八湯ウォーク事務局)、菅野静さん(鉄輪「湯治ぐらし」代表)、円城寺健悠さん(別府大学温泉愛好会部長)の3人。
 はじめに、山村さんが「風呂屋とまち歩き・まちづくり」をテーマに話した。
 「温泉は時間が経つと酸化すると言われています。一番フレッシュな温泉をかけ流しで入ることが理想です。天満町生まれで、祖父が60年前に作った共同湯があります。老朽化していたため、リニューアルしようと考えました。天満町には別府大仏があったので、名前を『大仏温泉』にしました」と話した。
 温泉は「新しくて清潔が一番」なので、毎日、湯を入れ替える。温泉の源泉は単純泉で、肌がすべすべになるという。
 「別府では世界温泉地サミットなどがあり、別府は温泉情報を発信している町。現地を案内するので、まち歩きに参加して下さい」と語った。
 菅野さんが、湯治について、「湯治は、かつての療養法で、西洋医学の発達により廃れつつある。日本人でさえ、湯治と言う言葉を知らない人が多く古い文化になってしまった。結果、温泉は観光の1つの要素となってしまい、大きな浴槽に入って体をきれいにする場所というレベルの認識になった」と現状を説明。
 湯治は、原点回帰させ視点を編み直すことで、日本が誇れる新しい時代のヘルスマネジメント、ライフスタイルになりうると確信。鉄輪に湯治シェアハウス「湯治ぐらし」を展開。今年3月、湯治ぐらし3軒目をオープンする。
 円城寺さんが「歴史を掘り起こしていく中で、温泉は生活の一部になっていると感じた。これはリゾート的な温泉ではなく、町中にある温泉を指している。このような場所が管理者の高齢化や利用者の減少などで共同温泉が減少している」と現状を説明。
 別府大学温泉愛好会部長として「別府の温泉は文化や歴史が違うので、一括りに『別府温泉』とは言えない。そこをフィールドにして活動している。また、別府“温泉”大学の手伝いなどもしています」と述べた。
 続いて、シンポジウムに移り、コーディネーターの篠藤明徳文学部教授の質問を、山村さん、菅野さん、円城寺さんが答えた。