別府市立亀川小学校(佐藤裕一校長)が、独立行政法人職員支援機構(NITS)が行った「第4回NITS大賞」で最高賞となる優秀賞を受賞した。大分県からの受賞は初めて。
NITS大賞は、学校をとりまく課題の解決にむけて、「チーム学校」での取り組みを募集し、教育現場に優れた取り組みを普及するもの。教育現場では共通する課題も多いことから、それぞれの現場だけで取り組むのではなく、お互いにノウハウや経験を共有することで、新たな展開が期待されている。
令和2年度は全国の小中高校から216点の応募があり、その中から10点が優秀賞に選ばれた。本来なら、優秀賞に選ばれた10校が東京でプレゼンを行い、その中から大賞1校が選ばれるのだが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となったため、優秀賞が最上位賞となった。
亀川小学校は「夢を持ち自ら学ぶ子へ~コロナ禍の休校で必要な資質は?」を活動テーマに取り組んだ。全国に発出された昨年の緊急事態宣言により、学校は急きょ臨時休校になるなど、子どもたちの学習にも大きな影響を与えた。コロナ禍における休校中の保護者にオンラインアンケートを行ったところ、「学校にように時間割を立てて、自分から勉強することがなかなかできない」「自分から進んで勉強をしない」など、主体性の欠如についての回答があり、この課題を教育目標に位置づけ、「夢を持ち自ら学び続ける子」を目指した。
活動では、子どもたちの発案により、創業者に夢を語ってもらう講演会を開いたり、ラオスや日本のパラリンピック選手とリモートで交流することで夢につながる話を聞いたりした。また、給食を食べる時は無言で食べることになったため、この機会に手話を覚えて、給食を食べる時は手話を活用するなど、発想を逆転して、ピンチをチャンスと捉えて、目標達成に向けて取り組んだ。
その結果、令和2年度大分県学力調査質問紙の回答において、「夢や目標がありますか」という質問に対し、全国値は59・3%だったが、亀川小は78・1%と高く、「自分から勉強をしますか」の肯定率でも全国が70・7%に対し、亀川小は84・4%と上回った。全国を基準とした学力調査でも、すべての学年、教科で全国平均を6・9ポイント上回った。その付帯効果か、不登校がなくなったという。
コロナ禍で浮彫になった喫緊の課題を教育目標に位置づけ、教職員、保護者、地域の目標の共有の工夫をして教育目標に結び付けたことや地域人材の活用を学校の目標達成のために絞り込んだことが成果につながったとしている。
佐藤校長は「大賞のことを研修で知り、昨年に続いて応募しました。子どもたちがとても素晴らしくて、取り組みによって子どもたちの成果が認められたと思う」と話した。