法整備を急げ!

 岸信夫防相が「尖閣諸島防衛」について質された。防相いわく、尖閣に上陸の恐れがあり、領有権侵犯が認められた場合、「警察官職務執行法」により、対処攻撃は可能―――と平然と答え、与野党も一応納得の状態。馬鹿らしい連中だ。昭和29年制定の「自衛隊法」自体がチンプンカンプン。自衛隊の存在定義に始まり、指揮監督権から組織編成、隊員要件、身分の定義と来て、第6章にやっと「防衛出動」「治安出動」「災害派遣」と来る。防衛出動時の武力行使は第7章の項目で、自衛隊法97条で出て来る。法律自体が「緊急有事」を想定していない。編成や訓練、人材教育、隊員保障は「存在意義」に追尾する形であるべきなのでは………。我が国、公務員諸法の制定は「組織ありき」から始まる。自衛官が国防の任に着く意義と目的は法規前文に若干触れている程度で大きな存在意義や、たとえば、自衛官が入隊時に宣誓する「―――事に臨んでは危険をかえりみず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる―――」とした、国への誓いは要求するが、国(法)は彼らの使命感に十分こたえてはいない。
 武器使用の「警察官職務執行法」を一時借用して国防が成されるか。司法警察員の防犯、犯罪摘発行動と国防を同一視する程度で大臣答弁しているのが現在の状況。「警職法」は国内法で昭和23年の制定。自衛隊その前身である警察予備隊(昭25年)、保安隊(昭27年)と称された頃の名残りで、防衛行動に警職法を運用している。
 警職法は犯罪の未然防止、正当防衛、緊急避難等の要件で武器使用する。防衛行動その具体的対処方法は「正当防衛」や「緊急避難」か。余談になるが、来日した各国の首脳らを迎える儀仗隊は陸上自衛隊の第302保安警務中隊。儀仗の際は公賓、国賓に着剣捧げ銃(ささげつつ)して栄誉礼を行う。外国来賓の面前で武器を拠うので、全員が司法警察員の資格で儀仗式典にのぞむ。その昔は警察手帳の携行が義務づけられた。まさに借り衣を着せられての対応だ。ここには国家を代表する軍人としての尊厳はない。まさか今でもこれが続いているのか。
 安倍前政権の本丸は憲法改正。これも志遂げられず病気を理由に指揮官が敗走。菅首相は後手ゴテのコロナ対策と長男の不始末のケツふき。防相は警職法依存症。全国紙は週刊誌ネタに振り回されっ放し。この際、憲法改正どころか自衛隊法改正にカジを切ってはどうか。ムダに多い国会議員の人数を削減して。  (陽)