公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団は6日、第22回別府アルゲリッチ音楽祭の開催中止を発表した。
同音楽祭について、アルゲリッチ総監督の入国をはじめとして、新型コロナ感染対策を徹底するなど開催できるように準備を進めてきた。しかし、大分県内における新型コロナ変異株の感染拡大を受けて、音楽祭の全公演について中止とした。また、14日の東京公演についても、緊急事態宣言が延長される報道を受けて、来場者、アーティスト、関係者の安全安心を総合的に判断した。
同財団は「昨年に続き、今年も開催が叶わず、音楽祭を心待ちにされていた皆様には、大変なご迷惑おかけいたしますことを心からお詫び申しあげますとともに、事情をご賢察いただき、ご了承賜りますよう謹んでお願い申し上げます。また、ご支援いただいておりますご寄附、ご協賛の皆さま、そして、開催に向けて準備などご協力を賜りました関係者の皆さまにも厚く御礼申し上げますとともに、謹んでお詫び申しあげます」。
アルゲリッチ総監督は「今回の開催中止は大変残念です。来日するつもりで様々な準備を整えていました。それは私だけでなく、またこの事に従事してくれたスタッフたちも、友人たちも同様です。大変ショックで残念でありますが、世界中が不透明な状況にありますので致し方ないことです。ミッシャ・マイスキーさんには大変申し訳ないことです。彼も来日するために準備をしていたところ、出発前日の報に大変驚き、彼もまたショックであったと思います。音楽家は演奏できることが何よりの喜びであり、今回出演予定でした多くの若い音楽家も、またすべての音楽家も同様だと思います。これだけの決断ですから広瀬勝貞大分県知事には重要な懸念があるのだと思いました。これで世界が終わるわけではありません。コロナ禍が落ち着けば再び会えます。そのときを楽しみにしています」とコメントしている。
中止に伴うチケットの払い戻しについては後日、財団ホームページなどで知らせていく。
音楽祭中止を受けて長野市長がコメント
第22回別府アルゲリッチ音楽祭開催中止を受けて、長野恭紘別府市長がコメントを発表した。コメントは次のとおり。
先ほど発表がありました第22回別府アルゲリッチ音楽祭の中止につきまして、別府市としては誠に残念に受けとめております。
大分県内各地、そして開催地のひとつである東京都内で新型コロナウイルスの新規感染が高い水準で続き、市民の健康と生命を守ることが最優先の状況で、主催者の公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団が下された苦渋の決断を理解し、尊重いたします。
何より、来日を所望されておりましたマルタ・アルゲリッチ総監督、出演予定だった演奏家と音楽祭関係者の皆さま、そして別府を訪れる予定にされていた観客の皆さまの落胆を慮りますと、私も大変心苦しく、申し訳ない気持ちで一杯です。
この度の中止決定に関しましては、市民・観客の皆さまにおかれましてはどうかご深慮をいただき、次回の音楽祭を完全な形で開催すべく、今後ともご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。