別府市、市教育委員会、市人権問題啓発推進協議会は「差別をなくす市民の集い」を24日午後1時30分から、市公会堂2階大ホールで開催した。今回は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、参加者を限定し50人が参加した。
講師は、大分県人権教育・啓発推進協議会人権問題研修講師で別府溝部学園短期大学非常勤講師の一法師英昭さんが務めて「今を生きる私たち~歴史から学ぶ『差別のおかしさ』~」をテーマに講演した。
市人権問題啓発推進協議会会長(長野恭紘別府市長)の代理として阿南寿和副市長が「8月は差別をなくす運動月間として県内各地で行事を行っています。別府市でも『差別をなくす市民の集い』という形で毎年開催しています。新型コロナウイルスが収まらない中、人数を絞って開催させていただいています。差別解消に向けては差別解消三法と言われている部落差別解消推進法、障害者差別解消推進法、ヘイトスピーチ解消法と言った三法が平成28年に制定されました。新型コロナウイルス感染症の状況において、誹謗中傷、差別的な扱いという事象が生まれています。別府市としてもこれらの事象に対して積極的な啓発活動をしています」とあいさつした。
また、松川章三別府市議会議長、徳田貴美子人権擁護委員兼別府市地区会会長が紹介された。
一法師さんは「差別のすべての元凶は『無知』。知識がないから差別が生まれる。差別の実態、歴史、差別を取り巻く状況を私たちが知っているのか。いちばん厄介なのは『私は知っている』との思い込み。今を生きる私たちが知っておかなければならないことは、差別の実態で人権の侵害差別があるという事実」と話した。
身の周りには▽姓に関して▽性に関して▽居所に関して▽職業に関して▽迷信・慣習に関して▽家族に関して―とさまざま差別がある。
「部落差別の解消の推進に関する法律」(部落差別解消推進法)が2016年12月16日に施行されている。この背景には、新たに法律を制定しなければならないほどの部落差別の現実が存在する。部落差別の増大と悪質化があり、インターネットやSNSなどでの差別や結婚差別などはラクガキと違って簡単に消せずに真偽も分からない。
部落差別解消のために今できることは「差別をなくす主体は自分。差別に関して今の社会のあり方、差別の原因を『被差別側』に求めることは間違っていると自覚し、行動すること」と説明した。