厚生労働省と独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構主催の「令和3年度高齢者活躍企業コンテスト」でビルメンテナス業の㈱美装管理(髙野浩子代表取締役、別府市天満町)が厚生労働大臣表彰特別賞を受賞。髙野社長らが15日午前11時、別府市役所を訪れて長野恭紘別府市長に受賞を報告した。
同コンテストは、高年齢者がいきいきと働くことのできる、創意工夫された事業を募集するもの。長い職業人生の中で培ってきた知識や経験を職場等で有効に活かすため、企業等が行った優秀事例を示し、企業等における雇用・就業機会の確保などの環境整備に向けて、付帯的な取り組みの普及・促進を図る。
美装管理は、昭和49年に創業し、ビルメンテナンスを行っている。定年年齢を70歳までに引き上げ、希望者は75歳まで再雇用。さらに希望する人は75歳以上になっても再雇用をしている。現在、最高齢は77歳。
高齢の社員を各現場で若手社員とペア就労にすることで、現場での教育担当の立場を確立。役割分担をしながら、若手の育成に努めている。社員の希望にあわせて所定の労働時間内で勤務時間帯を固定せずに柔軟に設置できるようにし、急な体調不良の時でも安心して休めるように代行できる業務が行える環境を整備している。
また、伝統技術で熟練の技術が必要な「木部灰汁洗い」を若手社員とペア就労で行い、技術の継承も行っている。
健康面でも、健康診断に骨粗しょう症検査を追加したり、日常的に行っている巡回の中で、高齢社員等から寄せられた意見や要望をもとに、清掃機器の購入を行うなど、作業環境の改善に努めているーなどの活動が評価された。
報告会では、九州・山口70歳現役社会推進協議会(会長・服部誠太郎福岡県知事)の会長表彰を受けたことも報告した。
髙野社長は「長年勤めてくれて、年を重ねても働いてくれている社員のおかげです。これまで以上に、ヒヤリングなどで意見を聞き、出来る事から改善していき働きやすい職場にしたい」と話した。
長野市長は「多くの高齢者がいきいきと働いて、技の継承などが行われることが、企業繁栄の重要なポイントだと思います。ずっとその職場で働けるというのは、働きやすい環境だからだと思います」と労った。
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髙野さんの父親で美装管理の会長だった板井一夫さんは10月に他界。今回の第一報が入った9月には病床で「よかったなぁ」と感激していたそうだ。6日のリモートによる伝達式当日は奇しくも一夫さんの通夜が営まれた。
高齢者雇用に努めた企業に贈られる今回の表彰。コロナ禍にあって「厳しい時間の中で少しでも、豊かに過ごしてほしい」と髙野社長は昨年から全従業員に米を贈呈している。今年は11月に配布され、栄えある受賞を社員一丸で祝った。