プーチンの敗北

 ロシアのウクライナ侵略で我々は大きな教訓を得た。ゼレンスキー・ウクライナ大統領が周辺国や米国の誘いで、国外に退去して亡命政府を構築しようものなら、数日にして首都キエフは陥落。国民は思い留まって銃を手にする事は無かった。プーチン氏が祖国ロシアを本気で守る意識があったなら、国連を始めとする諸外国はこれほどまでに背を向ける事はなかった。
 権威主義に走る「帝国」は、そのリーダーによって間違った、思いもしない行動に走る。北は北京五輪の期間中は静かにするが、その前後は平気でミサイルを飛ばす。ロシア、中国を後ろ立てにして南下、韓国そして日本を襲って来る可能性を示している。ロシアの極東海軍は北海道を平然と通過し、日本海―東欧に向かう。北海道は度々スクランブル対応をくり返した。中国は尖閣諸島の領海間近に侵入を同じように繰り返した。ウクライナ侵略最中の行為。国会議員は、平和外交の手づまり、更なる制裁でロシアの地位と影響力を貶めようと外務省のケツをたたく。
 領有権地域に侵入する意図のある国家、いずれ必ずその地域を手に入れようとする可能性がある。ウクライナが証明した。
 我々日本は、戦後永きにわたる平和主義から脱却して、真の国防意識を共有しなければならない。日本に手を出したら「大変危険だ」という意識を諸外国に示さなければならない。ゼレンスキーが身をもって証明したように。難しい事ではない。愛国心の醸成であり、自分の国は自分達で守るという気概を幼少の頃から身につけさせることだ。よくテレビに出る人気コメンテーターのニセ平和主義の言葉に流されてはダメだ。
 1991年の湾岸戦争当時、湾岸地域で極めて裕福な国、クエートがイラクに侵略された。国の指導者王侯らは、百ドル札の束をベンツのトランクに詰め込んで逃げた。豊富な金銭によって築かれた国、防衛装備も充実させ、兵隊も東南アジアの傭兵でまかなった。貧困なイラク兵は「お前達の給料はあの国境の向こうにある!」を合言葉に戦車を主体として数個師団が即占領。当初周辺諸国がクエートに対し冷ややかだったのはこんな所にあった。傭兵では祖国は守れない。30年前の教訓がある。ロシアは同じテツを踏むかもしれない。
 そして多国籍軍を構築させたアメリカは世界のリーダーとしての役目をはたした。今はどうか?
 さてプーチン侵略について、ウクライナのキエフをはじめ、この状態は事の結果いかんを問わず、プーチンの敗北。明らかな負け戦。全てが彼自身の野望で始まった。典型的なジェノサイド(無差別殺人)。隣国を西側諸国との「緩衝地帯」とする考え方自体、傲慢だ。それだけ旧友好国だったロシアに魅力がないという思いを知れ。隣国の罪なき人々を犠牲にし、前途ある自国の兵士に死をもたらした罪、隣国を侵略するため金銭で雇った中東の兵士を投入する。世界中の人々から背を向けられた独裁者よ、明らかな敗北者だ!
 ※この侵略で得た最大の教訓、有能な指導者と、孤独な独裁者それぞれの姿。  (陽)