残虐非道なロシア軍のウクライナ侵略、日増しにその蛮行が「高度化」している。子ども1万2千人をロシアに「連行」したり、婦女子のレイプ殺害、手首を後ろ手に縛って頭部に銃弾を発射する、処刑スタイルは第2次大戦中のナチスドイツを連想させる。露軍はなぜこのような非道をくり返すか。
軍律の緩さは露軍の特質でもある。1939年の独ソ不可侵条約を盾にしてフィンランドに侵攻した際も同様。
日ソ不可侵条約を再び破棄して弱体化なった日本軍を制圧、日本の民間人に対する暴虐は筆舌に遂くし難い。ロシア国民の体質といえば失礼にしてそれまでだが、本来、国軍に対する指導者の思いが足りないのは事実。スターリン時代の「粛清」によるもの。兵は権益拡大の「駒」としての意識。今回2月24日のウクライナ侵略は、1週間以内のキーウ陥落で勝利するハズだった。「ナチ化」が進むウクライナを解放するというプロパガンダで、新兵教育終了の招集兵、陸上部隊32万5千人の内、約6割の19万人がこの戦いに投入された。簡単にウクライナを手中に納めるハズだった。首都キーウどころか、露系国民の多い東部南部でも苦戦状態だ。これらの蛮行は明白に「戦争犯罪行為」であり、戦争責任は厳しく追及されるべきであり、国連や国際司法裁判所の存在理由を含めて徹底解明されるべきだろう。
国連やNATOの主導国である米国は善なる「強権」を発動して対処すべきでは。独裁者プーチン、彼を支持した周囲の首脳部、軍、警察、保安庁、情報局そして国民1人ひとりが戦争による国益確保を是とする体質があるからだ。ウクライナ戦では多数の脱走兵、命令違反者を出した。ウクライナに同情する諸外国の経済制裁は徐々に一般国民の社会生活に影響が出ているようだ。
ウクライナ侵略の戦費は1日3兆円という。露国の国家予算は年間約35兆円。12日間で国家予算を食いつぶす。更に戦術は旧軍式。デジタル化していない武器は旧ソ連製。戦車が公道を従列で進行する。ウクライナ軍にとっては格好の標的である。最新式T90式戦車(生産コスト約4億円)を米国無償貸与の対戦車ミサイル、ジャベリン(コスト約1千万円)で迎え撃つ。部隊の隊容を形成する補給は前線に届かず、現地(侵略地)で物資補給(略奪)。いきおい、軍律は瞬時に喪失される。戦争犯罪者の集団がヨーロッパの穀倉地帯を踏みにじる。本格的な春になれば積雪が溶け、広大な平野部は水を含んだドロ沼のように広がる。戦車や重車輌のタイヤがドロに食い込んで行く手を阻む。旧戦術旧行動にまかせた兵の侵攻を自然が立ちふさがる。
プーチン1人の問題ではない。この国家体制を維持強化し、国力こそが大国の存在価値としたロシア国民にも大きな責任となって降りかかって来る。5月9日対独戦勝利記念日の前にウクライナ敗戦記念日を迎えるのでは……。
(陽)