悪魔の証明

 ロシアのウクライナ侵略、当初は「風前の灯」のように解説していた政治評論家が、ウクライナの健闘続くや、論調を日々刻々と変え続けている。情けない話だ。「大統領は国外に移って亡命政府を……」「命を守る事が最優先」など、真しやかにテレビで唱える。元政治家で政党まで作り上げた人物がこれだ。また現役のなかには総理大臣経験者「ウクライナにも戦争責任がある……」保守系ベテラン議員は「事態を冷静に見つめるべき。北方4島問題でこれまで大変な協力を頂いた……」などなど。これが日本の政治家(ごく一部)の意見だ。どうやら平和ボケしているのは我々一般ではなく、ごく限られた一部の政治家なのでは?
 プーチンのウクライナ侵略は、露系ウクライナ国民が虐待を受け、「ナチス化」している。彼らの安全平和を確保する。欧米主体のNATO侵攻に対する安全保障――という。現在我が国の反社系組織でも使うことのない「因縁」を付けて侵攻をはじめた。
 新兵教育終了ホヤホヤの10~20代の徴募兵を主体に、戦車師団が縦列前進。旧式戦術に頼るばかりに見るも無残な「敗退劇」を演じた。陸戦の上級指揮官(大佐以上中将クラスまで)8人の戦死を確認。ドローンを主体とした無人偵察機や攻撃機で次々に主力戦車や装甲戦闘輸送車両を破壊し続けた。ロシアはプロパガンダが全土に浸透、プーチンの支持率は80%を超すというマユツバ報道がくり返されている。
 実体は▽大規模な戦費の流出▽情報収集分析のゴマ化し▽兵站(戦事物資不足)後方支援の欠落▽プーチン周辺の反対勢力拡大▽政治経済全般の国際社会の信用度の失墜――などを招いている。
 ウクライナ東部激戦地では軍律喪失による民間殺りくの拡大は、完全な戦争犯罪行為である。この結果、遂に生物化学兵器の使用を誘発させた。核とABC(生物化学)は使用すべかざる「悪魔の鎗」と言われる。戦傷どころか人間そのものを無差別にこの世から抹殺する兵器。自国の権益を拡大させ、己の影響力を維持しようとする者は、悪魔とも手を握る。いや、その者自身が悪魔となり得たということだ。日本の周辺諸国に目をやれば、自国の権益(自己の存在)に並々ならぬ精力を注ぎ込む独裁者が複数存在する。
 前述の政治家、政治家OBよ、己の命を懸けてでも守らねばならぬモノは、この世に確実に存在する。ウクライナが教示した。今度は国に対して己の「矜持」を示す時が来たのでは……。それともこのまま「悪魔」を擁護し続けるか。  (陽)