「浜田温泉」保存で奮闘

「浜田温泉 四ママ物語」を発行した岸川多恵子さん

 「街並みとまちづくりを考える大分県民の会」副代表の岸川多恵子さん(75)=別府市光町=は冊子「浜田温泉 四ママ物語」(A4版、96ページ)を800部出版した。
 昨年11月に開かれた全国街並みゼミ奈良大会で岸川さんは「峯山冨美賞」を受賞した。この賞は小樽運河保存運動で活躍した峯山冨美さんが亡くなった後に創設され、地域の文化と歴史的町並みなどの保存・再生・活用に貢献した女性に贈られる。今回の受賞を記念して岸川さんは、歴史的建造物の浜田温泉取り壊し阻止の奮闘記ともいえる冊子をまとめた。
 四ママとは、岸川さんのほか、高橋鴿子さん(昨年12月1日に87歳で死去)、水口民子さん(同年9月30日に87歳で死去)、伊藤秀美さんのこと。
 4人は平成13(2001)年9月に「浜田温泉保存の会」を立ち上げ、同17年9月に浜田温泉は別府市浜田温泉資料館に生まれ変わった。翌年8月に国の登録有形文化財に登録された。
 冊子は四ママの活動の軌跡を当時の新聞記事を交えて紹介している。
 岸川さんは「分不相応な賞をいただきました。私たちが取り組んだのは反対運動ではなく、保存運動でした。運動しなければ浜田温泉は100%取り壊されていた。浜田温泉は木造建築の粋を集めたもの。今は資料館になっていますが、それだけではもったいない。年に1回でもいい、足湯でもいい。温泉として復活する日が来るのを望んでいます」と話している。
 岸川さんは、10年前まで竹瓦温泉近くで有名店「サロン岸」を経営していた。同店をやりながらの保存運動が結実した。