中部中で徳田弁護士が講演

中学生を前に体験談から学んだことを話す徳田弁護士

 別府市立中部中学校はこのほど、徳田靖之弁護士を講師に、中部中ドリームスクールを開催した。3年生150人が出席した。
 中部中ドリームスクールでは、様々な職業の人と出会い、話を聴くことで将来の自分の姿を想像したり、大人の生き方にふれることでこれから生きていく上での力を養うのが目的。
 徳田弁護士は、別府市在住で弱い立場の人に寄り添った仕事で知られている。「65年前、青山中学校に入学し、3年間、野球に明け暮れました。当時は、中部、北部、青山が3強として競い合っていて、中部中学校にもよく試合できました」と当時を振り返り、中学生時代に知り合った友人について話をした。
 「彼は生まれつき障がいがあり、身長が私たちの半分ぐらいでした。今思えば恥ずかしいが、当時、彼を気の毒だ。何とか助けてあげなければと思っていました。毎日のように一緒に過ごし、守ってあげているよう気になっていた。ある日、街中で大人が彼を見て『小人』と言ったのです。私は怒ったが、彼は笑っていた。理由を聞くと『あれぐらいでいちいち腹を立てていたら、今まで生きてこれなかった』と言われました。その時、自分がとんでもない間違いをしていたことに気づきました。彼の方がずっと強かった」と話した。
 また、血友病の治療の課程で薬の中にエイズウイルスが混じったため、多くの人がエイズに感染した事案で患者との関わりの中で「私たちは当たり前のように過ごしていますが、彼らにとっては、学校に行くことが生きている証。エイズだと明かしても、『どれがどうした』と言ってくれる友達が大切。皆さんはそういう友達はいますか。自分は誰かのそういう友達になれていますか」と投げかけた。
 生徒を代表して、後藤咲良さんが「エイズについてよく知りませんでしたが、病気そのものだけでなく、差別にも苦しんでいる人がいると知り、1日1日を必死に生きていることを理解し、同じ人間として、いじめや差別はダメだと言える強い意思を持てる人間になりたいと思いました」と感想を述べた。