APUで小学生のグローバルキャンプ

子どもたちに戦争の悲惨さと平和の大切さを訴え、一緒に記念写真を撮った

 立命館アジア太平洋大学(出口治明学長、APU)で小学生を対象として9日から11日まで「グローバルキャンプ2022世界と出会う3日間」が実施され、4年生から6年生まで16人が参加。APUからもタイ、インドネシア、メキシコ、米国など8の国と地域から21人の学生が参加。
 10日午後2時20分から、マハティール・ビン・モハメド元マレーシア首相(97)が子どもたちにメッセージを送った。マハティール氏の来学は2018年以来2回目。子どもたちは、事前にマレーシアについて食事や歴史、マハティール氏のことなどを学んだ。
 講演会は、米山裕副学長が質問をする形で行われた。マハティール氏は、政治の世界に入ったきっかけを「十代の時、国は貧しくて外国に支配されていた。独立して豊かな国にしたかったので、政治家になろうと思った」と振り返り、「世界では2回の大戦で何百万人もの人が命を落とし、日本では、広島、長崎に原爆が落とされ、破壊されてしまった。そのような世界を破壊するような兵器を使うことのないよう国際連合が作られ、世界は平和になったのだが、戦後70年以上も経った今、ロシアはウクライナに侵攻、NATOに敵対している。これでは世界はまた新たな世界大戦に入っていきそうに見える」と危惧した。
 より平和な世界にするために何をしたらよいかを問われ、「戦争では人が人を殺す。誰かを殺すと普通は絞首刑になるが、戦争では人を殺しても罪に問われないどころか、人を何百万人も殺したというのに、英雄として像になったりする。我々はこの点であまり文明的とはいえない」と批判し、平和への実現を訴えた。
 また、若者たちには「若者は平和を信じ、平和に向けて頑張らなくてはならない。他の国の人たちと平和に友人になり、お互いに友好的であれば、戦争にはならない」と話した。
 子どもたちからは「他の国に対して戦争にならないようにどんなことをするべきですか」「小学生にできる平和を今作るためにできることはありますか」「首相になって変わったことは何ですか」など多くの質問が出た。マハティール氏は「戦争が終われば、また新しい敵を探してしまう。戦争は罪だ、と理解すること。世界中の人と友達になれば友達に対して戦争にはならないだろうから、友達を作ろう。首相になって、国を変えようと、成功した国、日本などをマネすることにした。東方の国をマネしてマレーシアは豊かな国になった」などと1つ1つ丁寧に答えた。
 子どもたちにはAPU学生が横について翻訳した。村岡燈さん(9)=福岡市=は「英語を学びたいと思って参加しました。戦争がなくなってほしいと思いました」。ジョーンズ・マシューさん(11)=別府市=は「(マハティール氏の話は)難しくてよく分からなかったけど、キャンプは楽しい」と話した。
 キャンプ中は英語で話すことがルール。キャンパス内を回ってミッションをクリアする「ミステリーキャンパスツアー」やグループワーキングを行い、世界の色々なことについて学んだ。