独裁者の「愛想笑い」

 ロシアのウクライナ侵略は8カ月を迎えた。当初首都のキーウは3日で陥落すると豪語していたプーチン氏の表情が変った。ウクライナ東部でナチズムが台頭、「ロシア系住民迫害が続く」という因縁を付けて始まった。最近は「戦力不足」によって30万人の緊急動員が発令された。当初は予備役対象だったが、頭数が揃わない。地方の募集事務所が次々に焼き討ちにあっている。また重犯刑務所で受刑者の「罪一等を滅ずる」とPRして集めてはいたが、戦闘現場で全く統制が利かず、逃亡や自主投降があい次いでいる。30万動員は政府高官の子息は徴兵漏れという。戦闘現場は士気が乱れ、新兵は自らの銃で自傷行為が多発、指揮命令系統はズタズタ。このような状況の中、ロシア国内では若者を主体に家族連れで国外へ。国境線には長い車列。軍は強烈な批判を浴び、高級指揮官は次々と更迭。
 ロシア情勢を反映する典型的な事件が発生した。迷彩戦闘服を含む、軍の制服130万着が管理下の倉庫から盗まれた。露軍現用の制服はヤミ市や余剰物資取り扱い店(サープラスショップ)で飛ぶように売れている。これを着用して町を歩けば徴募官や警察官に見られてもフリーパス。ウクライナ復員兵として見られ、「動員」逃れに効果バツグンだ。
 ロシア友好国や中国上海では旧東側諸国やアジア諸国との国際会議が行われた。各国首脳会談でプーチン氏が個別に戦事協力を呼びかけた。確かトルコのエルドアン大統領には15分間待たされた(各国首脳を平気で2~3時間待たせるあのプーチンさんが!)面談当初、愛想笑いを浮べて、「貴国がウクライナ問題で抱える憂慮は良く認識しております…」が枕言葉。先の国連総会ではウクライナの南部4州併合を非難する決議が145カ国によって成立した。友好国、旧ソ連邦の各国首脳は面従腹背状態とBBCが解説。中国に足を伸ばせば、日ごろからムッつり表情の習近平さんはあからさまに「困った奴だ」の表情を崩さない。インドのモディ首相は笑いも怒りもない。「ロシア産の安い石油と天然ガスさえ手に入れば…」の達観心境。唯一、電話会談でイエスマン金正恩クンは何でもOK!定期的にミサイル打ち込めば、「日本は労せずして陥落」の雰囲気をかもし出す。
 皮一枚でつながる友好国とのつながり、それを頼みに戦闘を維持継続するか。人生の中で浮かべた事のなかった「愛想笑い」を添えて。罪どころか穢れさえも無い。ウクライナの民に残虐な殺戮をくり返す。「愛想笑い」を浮かべて。
 終ったな!プーチン。  (陽)