防衛コスパ

 防衛力強化のために、GDP2%43兆円の大幅増額をめざす。岸田首相は国防は全国民の責任、予算は法人税、東日本復興、タバコ税などから約1兆円を上乗せする。3~5年の計画という。
 大きな勘違いだろう。まず内閣総理大臣が「国防は全国民の責任」と断ずる所が間違い。国防の「本質」は陸海空自衛隊。指揮する首相が全権を担い内閣全体が輔ひつ。最高指揮官は内閣総理大臣である。その重責は国民から選ばれし者であり、国民の安心安全に絶対的な責任を負うものである。「専守防衛」から「敵基地等の先制攻撃」に変更するなら、自衛権の行使に止まらず、国際紛争の解決手段のための攻撃力を順法化する「憲法改正」がまず先に決着が必要なのでは。次いで正面装備をはじめとする自衛隊の武器装具、施設の改善、高水準化という武装は、欧米輸入に頼らず、我が国の国際技術を優先すべきなのでは。国防は欧米の利益一辺倒の体質がある。ハイテクを含む武装は産学一体での「研究開発」そして「発注」が必要。技術流出を防ぎ国防機密保全の意識と法整備も不可欠。従来の我が国、防衛産業との長年の癒着はないか。外国産にぼう大なライセンス料ばかり支払っていないか。経済団体に頭を下げて、国防産業参入企業に協力を求める活動を怠っていないか。予算GDP2%という数字ばかりを目標とする税収で賄う感覚は財務官僚のやり方。首相は財務省のエージェントになってはいけない。コロナ禍で疲弊した経済の立て直しが最優先。「税」はその後だろう。
 何より、この国を「本気で守らなければならない」という意識を国民に伝え教示しなければならないと思う。本当に大切な人々の宝物である「ふるさと日本」。子どもの頃から始める愛国教育を怠って来た。諸外国では当り前の事として受け止められている「初等教育」から始めなければ……。ロシアや北朝鮮、そして中国を眺めて国防を問う必要があるか。もう一つ付け加える。予算ねん出に復興支援を一部流用するとあるが、被爆地広島出身の首相が発する言葉か。原爆の被害はDNAとなって二世三世に続いた。長崎、広島が背負った悲劇は永遠。福島をはじめとする東日本の復興こそは国防の要であるという認識を備えよう。ムダを省く。国会議員数、官僚の人員、ゼイタク過ぎる国の体質。見直すべき「もの」と「金」は首相の足もとにある。  (陽)