別府ONSENアカデミア開催

共同温泉の持続可能な取り組みなどをディスカッション
別府で短編映画を制作した斎藤工さん(左から2人目)らが登壇

 別府ONSENアカデミア2022(実行委員会主催)が26日午後1時、ビーコンプラザで開催された。
 温泉の様々な魅力を検証して、大切な資源である温泉を守りながら、新たな可能性を世界に向けて発信するシンポジウム。
 開会式で、長野恭紘別府市長が「温泉は体に良いだろうという事は、疑う余地はないと思いますが、具体的にどうよいのかがなかなかはかれない。科学的にエビデンスをとって、どうよいのかものさしを作ろうと腸内細菌に注目して調査しました。別府は“温泉首都”だと思っています。温泉の可能性について大事にやってきたし、これからも世界に発信していきたい」とあいさつ。
 パネルディスカッションでは、市営温泉の指定管理も行っているサンエスメンテナンスの塩見泰美さんをファシリテーターに、学生の重光宏哉さん(別府大学)、山田笑莉さん(立命館アジア太平洋大学)、石川万実別府大学広報課長がパネリストとなって「温泉文化を持続可能にするために」をテーマに行った。重光さんは数多くの共同温泉の清掃などを行っている。「前田温泉が2年前に高齢化による管理者不足と若者の温泉離れなどもあって一時閉鎖され、何とか復活させたいと学生で清掃などをするようになり、現在は約40人がメンバー」と話した。山田さんも清掃活動に参加し、大学の枠を越えた活動の広がりを紹介した。
 研究発表では、バスクリンつくば研究所フェローの石澤太市薬学博士が「温泉地でのワーケーション」と題して行った。社員7人が参加して、朝入浴における業務への影響について、自宅での「さら湯入浴」と「温泉タイプ入浴剤入浴」、「温泉入浴」に分けて違いを検証。朝に短時間、温泉入浴をする事が一番良い影響が出たことを発表した。
 トークセッションでは、「旅と温泉と」をテーマに、俳優で今年5月に別府で短編映画を監督として撮影した斎藤工さん、株式会社バクテリコの菅沼名津季代表取締役、映画ライターで7年前に別府市に移住した森田真帆さん、長野市長が登壇。斎藤さんは「撮影がワーケーションのようで、地球のエネルギーを浴びて充電した感じ。人の温度を感じられました」と別府の印象を述べて、腸活についても話をした。閉会後には、来年上映予定の別府での監督作品「縁石(ふちいし)」の予告編を先行上映した。
 「別府温泉で免疫力日本一宣言」をテーマとしたシンポジウムでは、馬奈木俊介九州大学研究センター長が、約140人を対象に18の旅館・ホテルの協力で5つの泉質での調査を行った結果を発表した。「泉質や入浴時間によって疫病リスクなどが低下したものもえられた」とした。前田豊樹九州大学病院別府病院准教授は「新たな一歩だと思う。ここから、さらに詰めた研究が必要」と述べた。西田陽一別府市旅館ホテル組合連合会長と長野市長も今後も協力するとした。