災害時の外国人支援の研修・訓練

災害時における外国人支援の九州ブロック研修会が別府市で行われた

 地域国際化協会連絡協議会九州ブロックの災害時外国人支援研修・訓練が13、14日に別府市役所レセプションホールで開催された。
 同協議会の事務局を務める一般財団法人自治体国際化協会(クレア)がブロック別に実施する研修で、今年度は九州ブロックでは、大分県が担当。おおいた国際交流プラザが委託を受けて実施した。大分県主催の災害時支援セミナーと連携して実施した。
 クレアは、地域経済の活性化や多文化共生、人材育成などの課題において、国際的な視野に立った戦略、事業運営を支援する団体。
 13日は午後1時半から、外国人支援に従事する行政職員らを対象に、基調講演やワークショップを実施。はじめに、主催者を代表して、関根なつき自治体国際協会多文化共生課長が「平時の顔の見える関係づくりが大切。研修は、実践的なスキルアップを図る貴重な場です。研修を糧に、地域における支援の中核的な役割として活躍することを期待しています」。
 三股耕二大分県国際政策課長が「近年、地震や台風などの自然災害が多発しています。日頃からの備えが重要です。九州内には約17万7千人、大分県内には約1万4千人の外国人居住者がいます。観光など短期滞在の外国人も増えると思われ、言葉や文化の違いが外国人を災害弱者になりやすくしています。セミナーを通じて、知識を深め、協力体制の強化につながればと思います」とそれぞれあいさつ。
 公益財団法人仙台観光国際協会の須藤信子国際化事業部長が「災害時の外国人支援とは」と題して、基調講演を行った。須藤部長は「避難所での生活ルールが分からないなどの課題がある。今は携帯を持っていて、ネットで情報とれるかもしれないが、東日本大震災の時はそこまでなかった。避難所が閉鎖されてから、生活を再建するまで、かなり長い期間かかる人もいる。多言語センターだけで解決するのは難しく、支援に関わる人自身もアンテナを高くして、どんな支援があるかを知る必要がある」と指摘。その上で「避難所にいる人、自宅にいる人、観光客によってニーズが違う。出てくる情報に注意をして、マッチングすることが大切。かなりの支援ツールや情報がまとめられているので、平時に見ていること。多言語表示シート、指さしボードなどがあるので、避難所に備蓄品として設置しておくと良い。留学生、技能実習生が多い地域は関係団体と日頃から関係を築いておくことが、災害時にすごく役に立つ。準備をしたことを訓練で試してみることを繰り返すことが大切。出来る準備は、平時にすべてしておく。外部とも定期的に確認をし、協力体制をつくっておく。いろんな事業に防災の観点を入れる事が大切」などと述べた。
 また、多言語支援センター設置・運用訓練のワークショップも実施。佐賀県国際交流協会の矢冨明徳さんが講師となって、5つのグループに分かれて、マニュアルのある大分県や別府市では、設置運営にかかる動きや関係団体との連携、その他の自治体では、地域内の在住外国人の状況把握や災害発生時の県との連携、多言語支援センターの活動内容、関係者間の関係構築などについて、意見交換をした。
 14日は、留学生も参加して避難所巡回訓練を行い、避難所において外国人にとってどういった課題があるかなどについて、ワークショップを行った。