「通信簿の少女」など15作品

松原温泉から作品紹介する匂坂緑里監督

 「TBSドキュメンタリー映画祭2023」が17日から、東京、大阪、名古屋、札幌の順で開催される。今年は映画祭アンバサダーに映画コメンテーターのLiLiCoさんが就任。別府を舞台にした「通信簿の少女を探して~小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今~」など15作品がラインナップされている。
 アンバサダー就任とラインナップ記者発表イベントは1月に行われた。「通信簿の少女を探して」の匂坂緑里監督(TBSスパークルチーフプロデューサー/ディレクター)は、別府市の松原温泉からオンラインでラインナップ発表会場をつなぎ作品紹介した。
 作品の主人公「通信簿の少女」は中国引き揚げ者で、南小学校出身。匂坂監督は少女を探して南小学校区を歩き、共同温泉が別府ならではの情報収集基地であることに気づいた。南小学校に近い共同温泉ということで松原温泉も取材し、そこから発信した。
 この作品の道案内は「昭和22年に別府の小学校で6年生だった少女の通信簿」。2016年、匂坂監督はある番組を作るにあたり、画家ゴーギャンの日記の古本をアマゾンで買った。表紙をめくると黄ばんだ紙がはさまっていた。それが少女の通信簿だった。そこから少女探しの旅が始まり、その一部始終を映像に収めることにした。通信簿の旅は、ドキュメンタリーの真骨頂「思いもよらぬ結末」に導いてくれた。
 「この作品は松原温泉をはじめ今日新聞社、南小学校、ブルーバード劇場、なかむら珈琲店など観光地ではないけれど、別府の文化の礎を作ってきた場所が登場します」と匂坂監督は話している。