「お帰りなさいの像」設置場所

実相寺の仏舎利塔
「満州・内地絆の会」の会合

 「内地地蔵(ないちじぞう)を建てる会」は今年になって名称を「満州・内地絆の会」に変えた。宗教色があったため、設置場所探しが難航したのが理由。また、お地蔵さまではなく「お帰りなさいの像」とする。
 建てる会は、第2次世界大戦の終戦で中国東北部の旧満州奉天から引き揚げた野村純子さん(88)=大分市一木=を発起人代表に昨年発足した。内地を目指しながら帰れなかった人々の魂は満州、朝鮮半島や南の島々に寂しくとどまっている。そんな魂に「ここへ帰ってきなさい」と呼びかける慰霊の像を建てるという趣旨は変わらない。
 設置場所を探して野村さんは県、大分市、別府市とかけ合ったが、議会の承認が必要で宗教色があっては反対される可能性があるとの理由で公有地はあきらめた。引き揚げ船で帰ってきたため海が見える、いい場所はないかと探していた。平和を願う趣旨は同じと別府市実相寺の日本山妙法寺別府道場(大石行地主任)が受け入れくれることになった。仏舎利塔近くの海の見える場所に「お帰りなさいの像」の設置を目指す。
 しかし、寄付金は目標の600万円に対して、まだ約40万円しか集まってない。絆の会は3月24日に別府道場で会合を開き、これから毎月1回、発起人に名をつらねる田井肇さんが経営する大分市府内町の映画館「シネマ5」で会合を開き、運動を盛り上げてゆくことを決めた。会員も増やしたい考えだ。
 「お帰りなさいの像」は、奉天引き揚げ者で「あしたのジョー」で有名な漫画家ちばてつやさんがデザインし、もんぺ姿の母親が「ここへ帰ってきなさい」と両手を広げているポーズ。制作するのは別府市在住の彫刻家で日展会員の原田裕明県立芸術文化短大名誉教授。高さ2メートルのブロンズのものとする。
 問い合わせは野村さん(電話080・6429・6224)。