上野通明さんの演奏に大きな拍手

チェロを演奏する上野通明さん(右)、ピアノを演奏する沼沢淑音さんⓒ脇屋伸光

 第23回別府アルゲリッチ音楽祭が26日午後7時、しいきアルゲリッチハウスで開幕し、音楽祭オープニング「上野通明チェロ・リサイタル」がオープニングを飾った。県内外から104人が訪れた。
 今回のテーマは「ミーティングポイント~“出会いの場”に込めた思い」。
 主催者を代表して長野恭紘別府市長が「多くの皆さんに集まってもらい、華やかに開催できます。マルタ・アルゲリッチ総監督、伊藤京子プロデューサー、多くのボランティアスタッフの皆さんに支えられて、約四半世紀の歴史を積み上げてきました。世界中の皆さんが『なぜマルタ・アルゲリッチが毎年、別府に来るのか。奇跡だ』と言われるようなスペシャルなことです。コロナを経験して、ようやく長いトンネルから抜けて光溢れる世界に駆け出していけると思います。芸術・文化は急がないものではありますが、私たちの生活に、心の豊かさにどれだけ影響したか。不急のものに人生の楽しみがあると実感しました」とあいさつ。
 「ただ今より『第23回別府アルゲリッチ音楽祭』の開会を宣言します」と開会宣言で音楽祭がスタートした。
 上野さんは、2021年ジュネーヴ国際コンクール・チェロ部門で日本人初の優勝を果たし、あわせてYoungAudiencePrize、RoseMarieHugueninPrize、Concert de Jussy Prizeと3つの特別賞も受賞した。パラグアイで生まれ、幼少期をスペイン、バルセロナで過ごす。13歳のとき、第6回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクールで全部門を通じて日本人初の優勝。また、第6回ルーマニア国際コンクール最年少第1位、ルーマニア大使館賞、ルーマニア・ラジオ文化局賞をあわせて受賞。これまでソリストとしてワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、ロシア交響楽団、KBS交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団など国内外のオーケストラと数多く共演している。また、ジャン=ギアン・ケラス、ダニエル・ゼペック、ホセ・ガヤルド、堤剛、諏訪内晶子、伊藤恵らの著名なアーティストと共演して好評を博している。
 最初は「無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調BWV1009」(バッハ)を演奏。続く「チェロ・ソナタ ニ短調op・40」(ショスタコーヴィッチ)はピアニストの沼沢淑音さんと演奏後、20分の休憩をはさんで、2人は2曲を演奏した。
 演奏が終わるごとに、大きな拍手を贈った。
 アンコールは「夢のあとに」(フォーレ)を披露し、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
 中津市の女性は「大分に居ながら一流の演奏が聴けるのが楽しみです。これからも開催し続けてください。応援しています」、大分市の男性は「オープニングに相応しい素晴らしい演奏でした」、大分市の女性は「贅沢な空間を満喫しました」とそれぞれ感想を述べた。