昨年6月の死亡ひき逃げ事件を受けて

別府警察署で会見をする
「リーゼント刑事」の秋山博康氏
JR別府駅東口で八田與一全国指名手配犯の
特徴などを記載している名刺サイズのカードを配布した

 昨年6月29日夜に野口原の別府公園西側交差点で起きた死亡ひき逃げ事件の犯人である八田與一容疑者(当時25)の情報交換などをするため、犯罪コメンテーターで「リーゼント刑事」で知られる元徳島県警捜査一課警部の秋山博康氏(62)と「大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会」、死亡した大学生の遺族が22日午後1時、別府警察署を訪れた。
 別府警察署で、安藤竜夫大分県警本部交通指導課次席兼被害者連絡調整官、正成祐治別府警察署交通課長が同席、秋山氏らが捜査状況の共有、同日の流れなどを情報交換した。
 終了後、同署駐車場で秋山氏は「目的は1つで、容疑者の八田與一を早期に発見し、別府警察署で逮捕してほしい。全国に指名手配や逮捕状を取って捜査中の被疑者は多くいます。この事件は、警察官を定年退職して2年経つが刑事魂が燃えてきた事件」と述べた。
 燃えてきた理由として①現職時代、2人殺害して自宅を放火した放火殺人事件があり、容疑者を指名手配した。11年間追い続けたが、被疑者は隠れ場所で死亡し、犯人の手首に手錠を掛けられなかった②道交法で指名手配をしているが、ある警察署で刑事課長をしているとき、同じような事件があった。被害者が二輪車で赤信号で停車中に、被疑者が故意的に減速せずに衝突し逃走した。その際は道交法ではなく、殺人未遂で令状を請求した。その後、車当たり捜査をして発見し緊急逮捕した。現職のときの経験で、関心を持った―とこの2点をあげた。
 秋山さんはSNSを使って全国から情報をもらっている。
 事件の悪質性を聞かれると「1人死亡、1人が重傷。現場から逃げる。自分が特定できる車を捨てて、今も逃げ通している。逃げ得を許してはいけない。遺族の方、被害者の方、家族の方の気持ちになって早急に犯人を検挙したい」と力を込めた。
 「今はSNSで全国に情報を拡散しています。指名手配の捜査は情報が命。全国民が『捜査員の目、耳』になったら八田容疑者は逮捕できると期待している」と訴えた。
 続いて、JR別府駅東口で八田容疑者の肉声が再生されるQRコード入り、八田容疑者の4種類の顔写真・事故現場の場所・時間・状況が明記されたカードをJR別府駅を使う市民や観光客に「何かあれば情報提供をお願いします」と言い、配布した。
 正成交通課長は「22日午前9時の時点、全国から415件の情報が寄せられています。多いのは『似た人間を見た』というもの。県外からの情報が多い。来署した方々とは、引き続き、ご遺族、願う会、警察、メディアが手を取り合って事件解決をめざそうと話しました。皆さんから寄せられる情報が命です」と述べた。
 活動終了後、秋山氏、解決を願う会会員、遺族は事故現場に行き献花をして手を合わせ、八田容疑者の検挙を誓った。
 遺族は「お仏壇を購入しました。ずっと先延ばしにしてきましたが、やっとです。いまだに信じられません。もう会えないなんて。受け入れ難い現実と向き合いながら、容疑者逮捕に向けて日々戦っています。寝込んでいる暇もありません。考えて、行動して、そしてまた考えて。こんな悲しいことが起きなければ、こんな力は出なかったくらいに頑張って、生きていきます」とコメントした。