聴覚障がいの夫婦受入

筆談で思いを語ったコバレンコ夫妻(中央)

 ロシアの侵攻により避難を余儀なくされたウクライナのコバレンコ・アンナさん(55)が太陽の家に受け入れられ、先に来ていた夫のコバレンコ・バーディムさん(51)と一緒に7日午前10時、太陽の家で会見を開いた。
 夫婦はともに聴覚に障がいがある。太陽の家は障がいのある避難者の受け入れを表明してきた。昨年9月にバーディムさんを受け入れ、福祉ホームで生活をしながら作業所等で働いている。いずれは、アンナさんも日本に呼びたいと話していて、生活基盤が確立されてきたことや、戦争の長期化も予想されることからポーランドに避難していたアンナさんを呼び寄せた。
 アンナさんは5月28日に日本に到着し、29日に太陽の家に来た。一緒に迎えに行った太陽の家の関係者によると、バーディムさんは3時間も前から空港でアンナさんの到着を待ち、ゲートから出てくると約9カ月ぶりの再会を喜びあい、ハグをしてアンナさんの荷物を持ってあげていたという。
 記者の質問にバーディムさんが手話で伝え、翻訳アプリや通訳を通じて答える形で、アンナさんは「これまで海を見たことがなかったので、とても驚いた。日本に来て安心している。施設も素晴らしく、快適に過ごすことが出来ている」と話し、スーパーで日本の食材を買ってウクライナ風の料理を作り2人で食べているという。
 バーディムさんは「2人で日本を旅行して、日本文化に触れてみたい」と笑顔を見せた。
 山下達夫理事長は「障がいのある人が取り残されないように、受け入れをしてきた。アンナさんを玄関で出迎えた時、素晴らしい笑顔だったのが印象深かった。戦争がなくなり祖国に帰れるのが一番だが、地域で普通に暮らせることを目標にしてもらいたい」と話した。