「べっぷの文化財」53号を発行

「鶴見七湯廼記」について詳しく書かれている

 別府市教育委員会はこのほど、「べっぷの文化財」(A4版、24㌻)の53号を発行した。執筆は、市文化財保護審議会の段上達雄委員。
 今回は「鶴見七湯廼記(つるみしちとうのき)ーその内容と復元の試みー」がテーマ。「鶴見七湯廼記」は、弘化2(1845)年に作成された、豊後国速見郡鶴見村の地誌。鶴見村は、現在の別府市の中央部西側に位置し、豊後森藩領。企画と詞書を担当したのは、森藩士の伊藤郡太夫の次男・重枝。寺社奉行の時に藩主久留島通嘉に献上したもの。挿絵は、江川吉良が描いている。
 現在は、県立歴史博物館が所蔵している。別府の古書店が持っていたもので、段上委員は「初めて見た時、驚愕したことを覚えている。別府のこと、それも温泉や景観のみならず、明礬や硫黄などの生産技術や暮らしを絵と文章でこれほど詳しく記録したものを見たことがなかった」と書いている。
 現在の「鶴見七湯廼記」は、本を仕立て直した際に、ページの順番や詞書に乱れがあり、挿絵の配列は「混乱していると言ってよい」ほどになっていた。それを少しずつ読み解き、現状構成と配列復元を表にして見やすくするとともに、解説が詳しく書かれている。
 冊子は250部作成し、別府市役所5階の社会教育課または、市立図書館で無料配布している。