別府税務署長

インボイスPRに全力

吉岡 啓三(よしおかけいぞう)さん(60)

 初めての別府勤務。「若いころ大分税務署にいたことがあり、ラクテンチや温泉で別府にはときどき来ていました。コロナ禍で別府観光は大打撃を受けたと聞きましたが、街を歩いているとお客さんは増え、コロナ前に戻りつつあるイメージです」と口を開いた。
 さて10月から、消費税のインボイス(適格請求書)制度がスタートする。消費税の計算は売り上げの消費税額から、仕入れや経費の消費税額を差し引いて計算するが、制度開始後はインボイスがなければ差し引くことができない。「インボイス」とは売り手が買い手に対し、正確な適用税率や消費税額等を伝える手段。
 インボイスを発行できるのは、課税事業者で登録を受けたインボイス発行事業者に限られる。免税事業者がインボイスを発行するためには課税事業者となった上で登録を受ける必要がある。税務署では、登録するか検討する人を対象に登録要否相談会を開催している、と制度を説明する。
 また、インボイス制度説明会が9月13日、10月19日、11月21日、12月20日の4回、別府税務署で開かれるため「希望者は電話でもいいので問い合わせてほしい」と話す。
 昭和38年4月7日、津久見市の生まれ。父親が旧国鉄の職員だったため日豊線沿線を転々として育った。57年4月に税務大学校入校。主な略歴は熊本国税局課税部資料調査第二課長、臼杵税務署長、同国税局調査査察部調査管理課長、そして今年7月に別府税務署長。
 思い出は40歳のときから税務大学校名古屋校で2年間、教育官として勤務したこと。別府税務署にも教え子がいて「父親のようにやさしい教育官だった」との“証言”がある。
 本職は法人税の調査で、国税局課税部資料調査第二課長時代に企業が不正をしていないかミニ査察に入ったことも。
 別府税務署は職員49人のうち5年未満の職員が15人いる若い署。「若いスタッフがうまく育ってほしい」と見守っている。
 座右の銘は「自信の上には奢りがあり、謙遜の下には卑屈がある。決して、自信に堕ちるな、謙遜に満ちるな」。昔から気になっていた言葉で、最近スマートフォンで調べて名優、大滝秀治の言葉と分かった。「日々自分を見つめ、うぬぼれることなく、逆に謙遜すぎてもいけない。中道を行けという意味ととらえています」という。
 妻綾子さんの間に一男二女だが、家族は熊本市の自宅に残し、単身赴任。宿舎から歩いて通勤しており「毎朝30分のウォーキング。ダイエットできる最後のチャンスだと思って頑張っています」と身長180センチの偉丈夫。