「日本神道」について語る㊤

日本神道について解説する
加藤兼司火売神社宮司

 火男火売神社の宮司で、別府東ロータリークラブのベテラン会員でもある、加藤兼司さん(73)が、東RCの例会で「日本神道」について卓話を行った。
 火売神社は嘉祥11(849)年に創建。867年の鶴見岳噴火を治めた神社として知られた存在。加藤宮司は神社神道について分かり易い口調で、日常生活の一部、人々の心の拠り所としての神道を紹介した。

【神道の特色】
 日本全国いたる所に神社がある。大は伊勢神宮・出雲大社。小は田んぼの中の祠などがある。
 明治神宮には正月3ケ日で400万人参詣、受験シーズンには各地の天神様に合格祈願。七五三、初宮詣、神前結婚式、家々の地鎮祭等、日本人が神道に関わる行事は無数にあるにも関わらず、神道を信ずる人は極めて少ない。
【国民意識調査】
 宗教を信じている日本人は33・6%。この数字は他国(キリスト教・イスラム教、東南アジア諸国の仏教など-戦争の原因)に比較して極端に少ない。上記33・6%の人の中で「あなたの宗教は?」の問いに神道と答えた人は4・3%。しかしながら神社参拝の経験者は日本人の90%以上と推定される。
 日本人の神道との関係は、キリスト教などの信仰するという自覚的な意識とは別の次元での関わり方がある。
 何故、日本人は神道と密接な関わりを持ちながら、神道を信ずるという次元で捉えられないのか。
【神道の起源】
 日本人の食生活の基礎である五穀の豊穣を神様に祈願するのが神道の始まりといわれる。それ以降2千年の間、人間が生きていく上で最も重要な食物の豊作は、神々の力によるという「信頼」が日本人の間に形成された。換言すれば、日本人の生活様式の中に、神様が人間の問題を解決するという信頼が、自然に定着してきた。つまり、神道が日本人の生活の基底部を構成する要素となった。
 日本人の各々が「私は日本の神を信ずるから」お祭りに参加するとか、神々に祈るという気持ちは、表面に現れない。たとえて言うと、日本人が日本語を使用することと同様に、とりたてて日本語を選択するという意識を持たずに使っているようなもの。とすれば、神道と日本人との一般的な関係は、神道を意識的に信仰するという決断的行為とは無縁である。  (つづく)