「日本神道」について語る㊦

【他宗教との相違】
 「創唱宗教」と言われるものに仏教、キリスト教、イスラム教がある。
 仏教は、釈迦によって「経典」がある。キリスト教は、ナザレのイエス(キリスト)が居り「聖書」がある。イスラム教は、マホメットによって「コーラン」が作られた。いずれも、創唱者の言葉によって、教団が発生。
 これらに対し、神道は創唱者もいないし、定まった教典もない。言わば自然発生の宗教である。ゆえに、神道とは何か?説明が難しいが、神道が日本人の生活様式の構成要素であったことがあげられる。生活様式とは元来、言葉で説明する必要のないもの。たとえば、日本人の挨拶は、握手ではなくお辞儀である。お辞儀をすることに、いちいち説明は要らない。神道が日本人の生活様式の一部を構成しているということが、同時に神道に対する日本人の無意識的関わりの理由。
   ◇  ◇
【まとめ】
 村々にある小さなお社から神宮に至る迄、全国の神社に於いて春秋の祭りを行うことは、日本人の生活の中で最も重要な行事であった。つまり、日本人にとって春秋の祭りを催し、参加することは至極自然なことであり、又義務でもあった。以上のように神道は、個人の信仰というレベルでは捉えられないし、日本人であれば誰でも関わらざるを得ない宗教と言える。
 その結果、大部分の日本人にとって神道を信じるという意識や自覚も生まれにくかった。あるいは神道が日本人の生活様式を構成する一部分であるため「神道とは何か」という問いすら日本人の間では殆ど問題にならなかった。
 また神社の形態として――
 神明神は天照皇大神(アマテラスオオミノカミ)をまつる神社。全国で約18000社。
 産土神は氏神や鎮守の神。
 八幡神は応神天皇を主祭神とする神社。全国で約25000社。
 稲荷神は宇加之御魂大神(ウガノミタマノオオカミ)を主祭神とする神社。全国で約30000社。
 天神は菅原道真公を祭る神社。全国で約11000社(天満宮)。
 宗像は厳島神―天照大御神の子・市杵島姫神を主祭神とする。9000社。
 天王神は素戔鳴尊(スサノオノミコト)を祭る。永川・熊野・津島・八坂系統の神社。9000社。
 諏訪神は建御名方命(タケミナカタノミコト)を主祭神とする。全国で約5000社。
 山王神は大山咋神(オオヤマフイノカミ)を祭る。日吉・日枝神社系の社。約3800社。
 その他、白山神、住吉神、浅間神、出雲神、恵比須神、多賀神、香取神、鹿島神、春日神、愛宕神、秋葉神などがある。
 この他、教派神道は、教団として独立した神道系宗派のことで13派がある。
     (おわり)