売上減少と求人難が問題

中小企業動向調査を発表した
日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫は「全国中小企業動向調査 2023年10~12月期実績、2024年1~3月以降期見通し」をこのほど、発表した。
 調査は従業員20人未満の企業1万社に対して行い、5888が回答した。景況は持ち直しの動きがみられる。
 今期(23年10月~12月)の業況判断DI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は、前期(23年7~9月期)からマイナス幅が1・6ポイント縮小し、マイナス17・6となった。来期は、マイナス幅が拡大し、マイナス28・5となる見通し。
 業況判断DIを業種別にみると、製造業(マイナス25・3)、非製造業(マイナス16・3)ともにマイナス幅が縮小した。非製造業を構成する大分類業種のうち、卸売業と建設業、運輸業でマイナス幅が縮小した。来期は、製造業、非製造業ともにマイナス幅が拡大する見通し。業況判断DIを地域別にみると、北海道と東北、東海、四国を除くすべての地域でマイナス幅が縮小した。来期は、すべての地域でマイナス幅が拡大する見通し
 今期の売上DI(全業種計)は、前期から3・2ポイント低下し、マイナス2・4となった。来期も、マイナス幅が拡大する見通し。
 今期の採算DI(全業種計)は、前期からマイナス幅が5・2ポイント縮小し、マイナス10・8となった。来期は、マイナス幅が拡大する見通し。
 今期の資金繰りDI(全業種計)は、前期からマイナス幅が1・2ポイント縮小し、マイナス19・4となった。来期は、マイナス幅が拡大する見通し。
 民間金融機関からの借入状況(全業種計)をみると、今期の借入DIは、前期からマイナス幅が0・9ポイント縮小し、マイナス16・3となった。
 当面の経営上の問題点(全業種計)をみると、「売上不振」が34・7%と最も多く、次いで「利益減少」(18・1%)、「原材料高」(17%)の順となっている。
 今期の設備投資実施企業割合(全業種計)は、前期から0・3ポイント上昇し、13・1%となった。今期の販売価格DI(全業種計)は、1・3ポイント低下し、26・1となった。来期も低下する見通し。今期の仕入価格DI(全業種計)は、2・4ポイント低下し、72・9となった。来期も低下する見通し。
 従業員20人以上の企業1万2567社に対して行い、4978社(回答率39・6%)が回答した。景況は持ち直しの動きがみられる。
 今期(23年10―12月期)の業況判断DIは、前期(同年7―9月期)から2・3ポイント低下し、5・4となった。来期(24年1―3月期)はほぼ横ばいの5・3、来々期(同年4―6月期)は6・5となる見通し。
 今期の業況判断DIを業種別にみると、製造業は、木材・木製品、電気機械、生産用機械等が上昇した。一方、電子部品・デバイス、繊維・繊維製品、業務用機械等は低下した。非製造業は、水運業、小売業、運送業(除水運)等が上昇した。
 業況判断DIを地域別にみると、今期は北海道、東海、近畿、中国、四国の5地域で上昇した。来期は、東北、北陸、東海、中国、九州の5地域で上昇する見通し。
 今期の売上DIは、前期から2ポイント低下し、13・9となった。来期は14・5と上昇し、来々期は15・2となる見通し。
 今期の純益率DIは、前期からほぼ横ばいで推移し、マイナス4・8となった。来期はマイナス3とマイナス幅が縮小し、来々期はマイナス2・4となる見通し。
 今期の販売価格DIは、前期からほぼ横ばいで推移し、44・9となった。仕入価格DIは前期から0・6ポイント低下し、78・2となった。来期の販売価格DI、仕入価格DIは、ともに低下する見通し。今期の資金繰りDIは、前期からほぼ横ばいで推移した。長期借入難易DIと短期借入難易DIは、ともに前期から上昇した。
 今期の従業員DIは、前期から1・8ポイント低下し、6・5となった。来期は上昇する見通し。今期の設備投資実施企業割合は、前期からほぼ横ばいで推移し、36・8%となった。
 当面の経営上の問題点をみると、「売上・受注の停滞、減少」が28・9%と最も多く、次いで、「求人難」(25・9%)、「原材料高」(22%)となっている。前回調査と比べると、「求人難」は1・7ポイント上昇した。「原材料高」は2・8ポイント低下した。