人出不足対応の課題は資金不足

別府市内100社が回答した

 別府商工会議所はこのほど、2023年10月から12月の企業景況調査を発表した。今回で41回目。
 今回は、人手不足対応の実施に当たっての課題について回答してもらった。全100社のうち97社から複数回答可としたことから120の回答を得ている。
 最も回答数が多かったのは「資金不足」で27社で、回答総数の23%を占めた(「その他」を除くと36%)。他に回答率が10%を超したのは「業務効率化を実行できる人材がいない」16%、「経営者、管理者層のノウハウ、知識」11%であった。法人と個人の別でみると「資金不足」の回答率に両者の差異はないが「業務効率化人材」「経営者等のノウハウ等」「労働法規等」で大きな差異があった。回答項目の「その他」が法人で38%である一方で個人は54%と大きな乖離があった。個人企業では人手不足対策に関し一種の諦め感が蔓延している可能性がある。
 市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
 ▽売上高=総合のDI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は31・0と前回より4ポイント改善。サービス業関連が52・5と前回(35・0)比で17・5ポイントも改善した。また、もの造り関連は10・0と前回(ゼロ)より改善されている。その一方で卸・小売業関連(20・0)は前回(32・5)より12・5ポイント悪化した。卸・小売業関連の窮境がみてとれる。
 ▽売上単価=総合38・0、もの造り関連40・0、卸・小売業関連40・0、サービス業関連35・0といずれも前回調査を上回っている。来期見通しは22・5から27・5の間を予想していることから一服感はあるものの、DI値は良好に推移していると判断しても良さそう。
 ▽資金繰り=全体として僅かであるものの悪化の傾向を示している。大分類ではサービス業関連が前回と同じく7・5であるほかもの造り関連(マイナス10・0)と前回(5・0)から悪化し、また卸・小売業関連もマイナス15・0と前回(マイナス12・5)より悪くなった。
 なお来期見通しでは総合で1・0とプラスになると予想しており、経営者の資金繰り改善に関する期待は大きい。
 ▽借入難度=資金繰りと借入難度は別の概念であるが、それを裏付ける結果となった。資金繰りでは7・5とプラスであったサービス業関連が本指標ではマイナス17・5とマイナスとなっており、かつ前回(マイナス5・0)より12・5ポイントも悪化している。
 ▽収益状況(経常利益)=総合は11・0と前回(3・0)より8・0ポイント改善されている一方で、もの造り関連はマイナス25・0と前回(マイナス15・0)より10・0ポイント悪化した。もの造り関連2業種は建設業(マイナス30・0)、製造業(マイナス20・0)とともにマイナスである。特に建設業は前回(マイナス10・0)よりも20・0ポイント悪化していることに注目したい。その外に、小売業(10・0)が前回比で35・0ポイント、飲食・サービス業(前回マイナス5・0)が45・0ポイント改善している。
 ▽雇用人員=総合マイナス35・0、もの造り関連マイナス55・0、卸・小売業関連マイナス27・5、サービス業関連マイナス32・5といずれも前回より悪化している。業種別でも7業種全てでマイナス値である。DI値の最小値は小売業と飲食・サービス業のマイナス25・0であり最も悪いDI値は建設業でマイナス60・0を記録した。
 ▽自社の業況判断=業種別で飲食・サービス業が50・0(前回30・0)、宿泊業が40・0(同30・0)と良好であった一方で、変動なしの製造業(同マイナス10・0)を除き他の4業種は前回より悪化している。特に卸売業がマイナス5・0と前回(45・0)から大きく悪化しているが、特別な事情がなかったのかを解析する必要があるかもしれない。