別府市は、市内の学校に通う小学4年生から高校2年生までに対して、ヤングケアラーに関するアンケート調査を実施。約155人がヤングケアラーと考えられ、うち約107人が支援を必要している状況であると発表した。
ヤングケアラーは、お手伝い程度ではなく、日常的に家庭の誰かのためにお世話や家事をしているため、学校に行けなかったリ、部活動などやりたいことが出来なかったり、進路について考え直さなければならないなどの状況にある子どもたち。「家族だからお世話をするのは当たり前」との考えから、誰にも相談できないケースは少なくない。また、自分がヤングケアラーだと気づいていない場合もある。
令和3年度に大分県が調査を行っており、その結果から人口の割合で100人程度のヤングケアラーが市内に存在すると推計していた。今回、市独自で調査を行うことで、実態が見えてきた。
アンケート調査は、ヤングケアラーと子どもの権利についての学習会を行った後に実施。ウェブと記入式のどちらかを選んでもらった。結果、6846人中5658人からの回答があった。回答率は、82・6%。
家族のお世話や家事について「している」と答えたのは、1割ほどの521人。内容は、「家族の代わりに幼いきょうだいのお世話をしている」162人、「障がいや病気のある家族の代わりに買物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている」159人など。お世話や家事をする頻度は、「ほぼ毎日」が一番多い。
「お世話や家事をしているために、やりたいけどできないことがありますか」の質問では、複数回答で「自由に過ごせる時間がない」「寝る時間が足りない」「家で宿題や勉強をする時間がない」「授業に集中できない」などの回答があった。少数だが「学校に行きたくても行けない」「進路を変えなければならない」「塾や習い事(部活動)に行けない」などと深刻な状況にあることを訴える回答もみられた。
お世話や家事をすることについての思いについては「仕方がない」との答えが一番多かったが、2番目は「満足している」、次いで「なんも感じていない」。アンケート結果から、支援を必要とする児童・生徒については、学校と連携して面談や継続的な見守りを行うなど個々に対応。ヤングケアラーコーディネーターを中心に事業内容を拡充した子育て世帯訪問支援事業によるヘルパー派遣をはじめ6月からは児童育成支援拠点など、その家庭のニーズに応じた様々な支援を行っている。
定例会見の中で長野恭紘別府市長は「家庭によって事情は違うため、別府特有のということはない。子どもたちが将来に向いていけるように、輝く未来をしっかり担保しないといけない。隙間のないケアやサポートが必要」とし、「実態調査をもとに、今後もヤングケアラーの負担軽減をはじめ、様々な困りを抱える妊産婦やこども、子育て家庭に寄り添いながら、子どもが健やかに育つ環境づくりに取り組んでいく」と述べた。