議員の「勘違い」

 世界の普通の国には国民の3大義務として、「教育」「納税」「兵役」がある。
 さて、我が国の国会議員のウラ金は脱税の色彩が濃い。「政治に金がかかる」という発想から、議員はあらゆる面で公的資金の恩恵にあずかる。国鉄の無料パスから公設秘書の給与、宿舎など諸々。
 本件の発端は安倍派議員の資金集めパーティー券のキックバック。野党はヒザをたたいて、政局に引っぱり出した。岸田政権は政治資金規制法の改正でこの難局を乗り切るため、必死だ。
 本来の問題は資金還流の規制や、キックバック行為の禁止ではないのでは。議員としての「資質」の問題である。裏金は明らかに「収入」である。裏金を純粋に政治活動費として活用したか。裏金はあくまで裏金であり、無税の金を湯水の如く利用して純なる政治活動ができようか。我々中小零細企業者は、脱税などしようものなら、重加算税をはじめ金融機関の融資対象からはずされ、社会的信用は一瞬のうちに消え去る。立ち直りの出来ない罰則が与えられる。第一裏金づくりに奔走する姿は、国民の納税意識をことごとく減退させる。このように与野党とも金銭に恵まれた職種の人間は酷い「勘違い」を抱く。
 北海道選出の長谷川岳議員のパワハラは歌手の吉幾三氏が航空機乗務員とのヤリ取りで発覚。道職員とその傘下の各自治体の行政マンまでも、ご機嫌伺いのため東京出張させられ各自治体はぼう大な予算を執行したという。長谷川氏といえば北大学生の頃、「YOSAKOIソーラン」を創作、集団演舞の勇壮なまつりは、多くの人々を魅了、全国に「YOSAKOI」を拡散させた。演歌の大御所北島三郎氏の目にも止まり、北島音楽事務所の支援を受け、地域おこしの主役級の拠いで全国に名を広げた。この評価を背景に政界に進んだ。
 自分に力があると「勘違い」した。議員は公僕である。私利私欲に走る愚徒ではない。岸田政権は「死に体」とウソブク自民幹部。「『ガバナンス』の欠如欠落」という。ひと事か!統治能力を求めるのであれば、議員のぬるま湯環境から飛び出せ。自ら身を削って国民に仕える姿勢を示したらどうか。
 正月一家団欒の一時を奪った能登半島大地震から半年が経とうとしている。見せかけの作業服を脱いで被災者と同じ衣食住の生活、汗を流す災害派遣者とツルハシを持って意識を共有する、背広とスマホ、運転手付きの高級車乗り回さず、庶民と共有する時間を。
 「専心職務遂行にあたり事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える」――自衛隊員の宣誓の一節。議員になる前、1年間でも半年でもいい。この生活を経験してみるといい。
       (陽)