先人慰霊のタイミング

 陸上自衛隊幕僚監部の幹部が靖国神社を参拝した。防衛省の集団参拝を禁止した通達違反の可能性があると、マスコミが目クジラ立てている。熟成されていない国の姿が見える。「靖国」は皆様御高承の如く、明治維新から先の大戦まで戦火(国難)に殉じた軍人軍属を祭神として祭った神社であり、戦没者慰霊が主たる目的。自衛隊としては「先輩」の悲運を慰め、平和維持の気概をここで醸成する目的もある。
 防衛省が集団、部隊の組織的参拝を戒めるような通達を出す事自体が愚かすぎる。先人慰霊が即宗教活動であり、軍国主義復活に連動する――という「論点」自体が幼拙だ。もういい加減にしたら。我が国の首脳や公賓として外国を訪問した際は、必ずといっていい程、戦没者慰霊のモニュメントに出向き、献花をする。また各国はこれをなかば救めづけている。同じことだ。我が国も靖国や千島ケ淵に招待して献花を要望してもいいではないか。今回の陸幕の集団参拝は陸幕副長が公用車で出て帰りはタクシー、服装はスーツにネクタイ。
 国を守り平和維持指揮する者が参拝するんであれば、姓名位官を堂々と主張し、英霊にぬかずく姿勢と、その姿形が必要だ。参拝料は一律2千円というのも笑わせる。金銭の高低を揶揄するワケではないが、現在の通貨基準からすれば陸士(兵士)の一日の小遣いレベル。旧軍の小、中将の階級で、これはないだろう…陸自の「戦闘間一般隊員の心得」に
 ▽武器、装具を愛護節用せよ―とある。小遣いまで愛護節用するか。こんな時に。参拝は大いに奨励すべきだ。しかし初詣で気分の今ではない。兵士7千人は能登半島で悪戦苦闘しながら背のうに20キロの生活物資を納め、被災者のもとに雪中行事。国民を守り続けている。今この時も。  (陽)