九州大学病院別府病院は11日午後2時、ビーコンプラザで創立90周年記念式典を開催した。
同病院は、昭和6年に九州大学温泉治療学研究所の診療科としてスタートした。昭和39年に研究所附属病院を設置し、温泉治療学の臨床応用に関する研究と診療を展開。昭和57年には、生体防御医学研究所附属病院に改組。平成15年に九州大学の3つの病院の統合に伴い、九州大学病院別府先進医療センター、平成23年に現在の九州大学病院別府病院に名称を変更した。
現在、病院の再開発を行っている。時代に応じた医療の提供や人材育成などを行い、機能強化を図る。平成18年度に休止した婦人科を再開。内科、外科、整形外科、放射線科、婦人科、麻酔科、リハビリテーション科の7診療科となり、病床数は120床になる予定。令和6年3月の開業を目指し、工事が行われている。
令和3年10月31日に創立90周年を迎え、当初は式典を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染症により、延期していた。
式典では、堀内孝彦病院長が「別府市は、改めて申し上げるまでもなく、日本一の温泉地で温泉の効能と治療への応用を目指した、国立大学最初の医療施設として1931年に誕生しました。設立には九州大学の熱意、地元の皆様の招致の熱意、この2つの熱意が大きく後押しをしたと聞いています。同病院は、あと1年余りで新病院に生まれ変わります。九州大学病院との人的交流、遠隔治療をさらに進め、九州大学が誇る世界最先端の医療を迅速かつ確実に大分県に提供できる体制を整えていきます。別府湾の眺望を見ることができ、背景には森があり、緑を生かした優しい環境を整備します。最先端の医療から温泉による癒しの医療まで、すべての治療オプションを備えた、素晴らしい病院になると確信しています」とあいさつ。
石橋達朗九州大学総長、中村雅史九州学病院長、長野恭紘別府市長、河野幸治大分県医師会長、岡田豊和別府市医師会長がそれぞれあいさつ。
特別講演として、島田達生大分医学技術専門学校長が「九州大学温泉治療学研究所初代所長田原淳 世界の心臓学を拓いた」。赤司友徳九州大学大学文書館准教授が「九州帝国大学温泉治療学研究所の創設と地域社会」。加藤聖子九州大学病院産婦人科長が「別府病院…思い出から未来へ」と題してそれぞれ講演を行った。
ロビーには、田原所長の研究に関する資料や九大別府病院の歴史、新しい病院のイメージ図などが展示された。