温泉地の活性化について

小川正人ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構理事長が講義した

 別府大学は公開授業「温泉学概論」の第13回目を1月17日午前10時40分、同大学で開催し、多くの学生や一般の人が参加した。
 講師は、一般社団法人ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構(東京都、涌井史郎会長)の小川正人理事長(元株式会社ANA総合研究所会長)。テーマは「ガストロノミーツーリズムによる温泉地の活性化」。
 小川理事長が「観光産業は、新型コロナで大打撃を受けたが、力強く復活に向かっている。日本の自然は人との共生で成り立っており、地域活性化は美しい日本の自然を守るため不可欠である。日本の温泉地の復活の鍵は、ガストロノミーツーリズムである」と切り出した。
 「ONSEN・ガストロノミーツーリズム」とは、温泉地をウォーキングして、温泉につかり、その土地ならではの食材をいただき、ゆっくりと歩く目線でその地域の景観や自然を体験すること。
 国内旅行消費額の推移として、国内旅行では2019年に日帰り約5兆円、宿泊約17兆円と計約22兆円と絶頂期を迎えた。その後、新型コロナの影響で落ち込み、22年の国内消費額は17~18兆円程度と想定されている。
 「インバウンドは2019年に3千万人を突破したものが、減少し22年から23年にかけて復活に向けて立ち上がっているのは間違いない」と述べた。
 日本の温泉について「地域の貴重な観光資源であり、全国で3千カ所以上あった。人々が長期滞在し、湯治を楽しむ文化があった。これを復活させたい」と話した。
 また地域コンテンツの“点”を“面”に変えて、地域に長期滞在させることが必要で、温泉地の原点である湯治(長期滞在)の復活が求められる。その友好な解決策の一つが「ガストロノミーツーリズム」であるという。
 そのほか、海外の事例、日本の事例と課題を語った。