県警が山岳遭難発生状況を発表

 大分県警が令和6年の山岳遭難発生状況(暫定値)を10日、発表した。
 昨年は51件(対前年同期比6件増)、56人(1人減)の遭難があった。死者は4人(2人増)、負傷者25人(7人増)。
 山別の発生件数は、平成27年、令和4年に並び過去最多、負傷者は昭和42年からの統計開始以来最多となった。
 状況は▽くじゅう山系=発生件数28件(9件増)、遭難者30人(9人増)、死者1人(1人増)、負傷者16人(7人増)▽祖母・傾山系=発生件数6件(4件増)、避難者6人(4件増)、死者1人(1人増)、負傷者4人(3人増)▽由布・鶴見岳=発生件数9件(3件減)、避難者10人(8人減)、死者1人(1人増)、負傷者4人(1人増)▽その他=発生件数8件(4件減)、避難者10人(6人減)、死者1人(1人減)、負傷者1人(4人減)―となっている。
 山別の負傷者の態様は▽くじゅう山系=転倒8人(2人増)、滑落1人(同数)、道迷い9人(同数)、疲労5人(4人増)、病気3人(1人増)、その他2人(2人増)▽祖母・傾山系=転倒2人(1人増)、滑落3人(3人増)、道迷い1人(同数)▽由布・鶴見岳=転倒1人(1人減)、滑落2人(1人増)、道迷い4人(3人減)、疲労ゼロ(1人減)、病気ゼロ(1人減)、その他1人(1人増)、不明1人(1人増)▽その他=滑落1人(1人減)、道迷い5人(2人増)、疲労1人(同数)、病気1人(1人増)、その他ゼロ(4人減)、不明ゼロ(4人減)―となっており、転倒11人(2人増)は全体の約22%、道迷い19人(1人減)は37%、疲労は6人(3人増)となっている。
 年間では、ミヤマキリシマが見頃を迎えた「5月」に10件、紅葉が映える「11月」に9件と多く発生している。
 遭難の態様では、装備不備(照明・地図不携帯等)や地理不案内による「道迷い」が最も多い。また、年齢や経験に応じない登山を敢行し、体力不足等による「疲労」が令和5年の2倍発生している。遭難者に登山届の作成・提出状況を確認したところ、6割以上が未作成・未提出だった。
 遭難を防ぐためには▽GPS付きスマートフォンと予備バッテリーを携帯する=助けを呼ぶ際に必ず必要となる▽経験、体力に応じた無理のない登山を計画=登山は計画を立てるところから始まる▽登山届を必ず提出=計画・装備の確認、救助隊の重要な情報となる▽非常食、雨具、照明具は必ず携行=急な天候の変化や遭難を想定した装備の準備▽天候不良時は勇気をもって登山の中止=視界不良による遭難や低体温症など命の危険が伴う▽単独登山はやめて仲間と登る=単独では救助を呼べない状況が発生する可能性がある―の6点を呼びかけている。