平和を考える市民の広場で講演会

戦争で散った学生たちの絵を集めた「無言館」を運営する窪島さん

 別府市と別府市教育委員会は、令和元年度平和を考える市民の広場を7日午後2時、市公会堂で開催した。
 寺岡悌二教育長が「8月6日広島で、9日には長崎で原爆が投下されました。被爆者の平均年齢も82歳と高齢になっています。二度とこのような悲劇が起こらないように、将来の子どもたちに伝えていく責任がある」とあいさつ。
 戦没画学生慰霊美術館「無言館」の窪島誠一郎館主(77)が「『無言館』のこと~一冊の画集に出会って~」と題して講演した。窪島さんは東京生まれで、作家でもある。印刷工、酒場経営などを経て、1979年に長野県上田市に「信濃デッサン館」を、1997年に隣接地に無言館を開設した。
 「若い頃、古本屋で村山槐多の画集に出会って、心揺さぶられた。この絵の中に、もう1つの命を残しているのだと感じた。村山槐多が住んだ上田でデッサン館をオープンさせ、偲ぶ集いをしていました。その時に招いた野見山暁治さんという画家がいて、以前、画集で戦没画というのを知った。その時は、正直、それほどの印象がなく下手だなと思ったぐらいだった。しかし、野見山さんの話を聞いていると、まだ父母は生きていて、亡くなった息子さんたちの絵を見せてもらう辛い仕事だったんだろうなと思った」
 「野見山さんは、すべての遺族を訪ねることが出来ず、不完全燃焼だと言った。戦後50年も経つと、父母や兄弟、姉妹もなくなりつつある。ほおっておけば彼らの絵は地上から消えていく、と言われた。当時52歳だった私は、手伝わせて下さいと話し、全国で戦没者の絵を集めて回った」と話し、遺族とのエピソードを交えながら、「必死に家族が守ってきたから、絵が残っている。これは、家族の絆」と述べた。
 また、講座室ではパネル展示「原爆と人間展」もあり、多くの人が戦争の悲惨さと恒久平和への思いを新たにした。

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