百年養兵の定

 自民党大会で女性自衛官が制服着用で「君が代」を斉唱した。野党議員はじめ多くの人が自衛隊の「政治利用」だと批判を続け、最近は小池東京都知事まで登場した。
 明らかな政治活動への参画だ。小泉防相は自衛官の参加は「私のところまで上がって来なかった」とバカげた言い訳をする始末。「私人として出演してもらったので問題はない」と強気に出たが、シリすぼみ。どこが「私人」だ。
 自民党大会は政権の総括と今後の方針確認など党勢拡大を目標とした公式な事業。これに権威を備えるためか自衛官を利用したワケだ。
 この女性自衛官は音楽隊に所属し、自衛隊の歌姫として知られ、音楽隊の発表会や各種行事に引っ張りダコのアイドル的な存在。東北のある県の観光大使にも就任している。出演の事前報告がなかったとすれば、意見を具申する担当者や引いては彼女自身も処分の対象になる。
 政権下、最高指揮官(首相・防相)の出席下で出演を「ノー」と言えるか。上官の命に従う職責を求められた者である。
 「シビリアンコントロール」とは文民が軍を管理、監督するもので、軍を利活用する権限はない。処分は自らが負うものである。昨日は陸上幕僚長までインタビューを受け、「問題ない」とするインタビュー。こりゃ「問題、大ありだ」
 小泉防相といえば、自衛官の処遇に政治生命をかけて突っ走っている感がある。棒給の増額、勤務の改善から営内生活を送る隊員の処遇、隊員家族への配慮など政権が今まで対応した事のない支援を着実にこなして来た。
 名誉ある職責である事は間違いない。またその名誉とは隊員達の活躍の積み重ねで得る事も言うに及ばず。
 隊員育成に時間と更なる繊細な配慮を求めたい。「百年兵を養うはこれ一時のため」
 細(さざ)れ石が岩のようになり、その表面に苔(こけ)が産(む)すまで。
 誰れかのように「自衛隊オタク」で終わってはいけない。   (陽)